農業情報研究所グローバリゼーション二国間関係・地域協力ニュース:2011年11月25日

ニュージー貿易相 TPP交渉に参加したいなら”最もセンシティブな”分野の自由化も確約せよ

 ニュージーランドのティム・グローサー貿易相が今週火曜日(11月15日)、同国サウス・アイランドで行われた乳業工場開所に当たってのスピーチで、カナダのTPP交渉参加は歓迎するが、カナダの乳製品と鶏肉を取り囲む関税の壁は交渉の目標と調和しない(out of step)と語った。

 カナダのハーパー首相は先般、日本のTPP交渉参加の意志表明に刺激されたか、突如としてTPP交渉に参加したいと言い出した。ハーパー政府はその後、供給管理のためと称するカナダの乳製品と鶏肉の150%から300%の高率関税保護は維持したままで交渉に参加できると言い張っている。

 しかし、グローサー貿易相はこの日の演説で、すでに交渉している9ヵ国は関税やその他の貿易障壁を廃止すると約束していると語った。貿易相は9ヵ国が討議で使っている言葉(言い回し)に言及、「関税とその他の類似の措置の廃止は、相当はっきりした[フレーズ]だ( pretty stark [phrase])。これについてはいかなる曖昧さもないと思う」と言ったそうである。

 さらに、これは、乳製品や砂糖や米のようなセンシティブな農業分野を何十年も保護してきた関税が、そのプロセスには少なくとも10年はかかるとしても、TPPの下では段階的に廃止されねばならないことを意味するとも語った。

 彼は、既存のTPP交渉参加諸国は、カナダ、メキシコ、日本の交渉参加の申請を、”最もセンシティブな事柄も含め”、貿易自由化を約束す”明確な証拠”を求め、非常に注意深く審査すると強調した。

 New Zealand disputes Harper's stand on tariff walls,Globe and Mail,11.11.24

 筆者は、10月12日の9ヵ国大枠合意を見ても、関税撤廃の例外を期待するのは甘すぎると言ってきた(TPP協定の大要発表 関税撤廃は例外なしすべての物品とサービスをTPP交渉のテーブルに 言った言わないの首相発言論争 言わなきゃ交渉参加はあり得ないのに)。交渉をリードするニュージーランドの貿易相の演説で、これは一層確かなことになった。米や砂糖などの例外扱いがあり得ることを想定した日本国内の言い争いなど、そもそも無意味なのだ。こんな不毛な論争をいつまで続けるのか。例外なしの参加に突き進むか、それとも早々に撤退するか、二つに一つの選択肢しかない。