農業情報研究所グローバリゼーション二国間関係・地域協力ニュース:2014年4月7日 :4月8日訂正(赤字部分)

日豪EPA交渉が大筋合意 牛肉関税引き下げの畜産業への影響は最小限と言うが・・・

 日本とオーストラリア両政府が7日、経済連携協定(EPA)交渉で日本のオーストラリア産牛肉輸入関税を段階的に下げる案で合意した。現行の38.5%から、冷凍牛肉は協定発効後18年目に19.5%に、国内産と競合する冷蔵牛肉は15年目に23.5%まで下げる。

 ただし、協定発効後最初の年は冷凍牛肉で19万5000トン、冷蔵牛肉で13万トンを超えた場合は、超過分の関税率を38.5%に戻す。そして10年後に上限枠をそれぞれ21万トン、14万5000トンまで少しずつ増やすという。

 政府筋は「上限枠は毎年の輸入分より少し多い程度で、それ以上増えると現行関税が適用される。畜産業への影響を最小限に抑えた」と説明したということだ。

 冷蔵牛肉、15年目に23.5% 日豪がEPAで合意 日本経済新聞 14.4.7 14:00

 しかし、この説明は必ずしも納得できるものではない。財務省貿易統計によれば、2013年のオーストラリア産牛肉輸入量は、生鮮及び冷蔵が11万6000トンほど、冷凍が17万トンほどだ。発効元年の現行関税輸入枠は、これを生鮮・冷蔵で12%、冷凍で15 %超える。10年後にはそれぞれ25%、24%超えることになる。 そして何よりも、この枠に達するまでは、現在より相当に安いオーストラリア産牛肉が入ってくるわけだ。「畜産業への影響を最小限に抑えた」は納得できるだろうか。

 さらに、この合意は、当然ながらTPP交渉や米国との二国間交渉に影響するだろう。アメリカがオーストラリアとの合意を指をくわえて見ているわけがない。対日要求はますます強硬になるだろう。あるいは、オーストラリアとの合意は、オバマ訪日に合わせて対米交渉で妥協するための布石だろうかと勘繰りたくなる。