農業情報研究所グローバリゼーション二国間関係・地域協力ニュース:2015年7月29日

ハワイTPP閣僚会合 大筋合意→最終決着は早計 協定の可否を決めるのは国民=議会 マレーシア通産相 

 TPPA(環太平洋パートナーシップ協定)交渉の「大筋合意」を目指す「最後の閣僚会合」と言われる4日間の閣僚会合がハワイ・マウイ島で始まった。「今回の会合を逃すと、米国は2016年の大統領選の候補者選びが本格化するほか、カナダも今年10月の総選挙を控え政治情勢が不安定化するため」に、交渉決着は難しくなるという((TPP:閣僚会合始まる 毎日新聞 15.7.29 夕刊))。

 しかし、ここに言う「大筋合意」とか、「交渉決着」とは、そもそも何を意味するのだろうか。閣僚による「大筋合意」は必ずしも各国による「大筋合意」を意味しないだろう。まして、各国議会が承認するかどうかを審議する「最終合意文書」ではない。「交渉決着」は、おそらく「大筋合意」を意味するのだろうが、それは直ちに協定成立=最終決着を意味しない。日本が米国からの米を7万トン輸入することで二国間協議を決着した上で全体交渉の「大筋合意」に漕ぎ着けたとしても、最終決着はいつになるか分らない、あるいは最終決着に至らない可能性も残るのである。結局、日米合意だけが残ったりして・・・。

 例えばマレーシアのモハメド・ムスタパ通産相はハワイ閣僚会合に先立ち、ハワイでTPP協定に調印(合意)することはない、調印するか否かはマレーシア国民全体が決定することであり、最終合意文書は二つの費用-便益分析と共に議会に提出すると確約している。

 TPP will not be signed in Maui: Mustapa,New Straits Times,15.7.29

 ハワイ大筋合意で交渉決着に向けて大きく前進というのは、なお早計と言えないだろうか。