クリントン次期米大統領候補 TPPは再交渉と明言 安倍の参院選経済公約もすべてパー?

 

農業情報研究所グローバリゼーション二国間 関係・地域協力ニュース20016年6月22

 

 2016年米国大統領選予備選で民主党候補に指名されたヒラリー・クリントン氏が621日、オハイオでの経済政策演説で、米国は国益にならないTPPのような貿易協定を再交渉すべきだと述べた。

 

 「私は、世界経済の中で競争でき、勝つことができると信じる。そのためには、アメリカ人に不都合な協定は再交渉すべきで、賃金引上げ、あるいは給料がいい雇用の創出のために必要な高い基準に合致しないTPPのようないかなる協定も拒否すべきである」("I believe we can compete and win in the global economy. To do that, we should renegotiate deals that are not working for Americans, and reject any agreements - like the Trans-Pacific Partnership - that don't meet my high bar for raising wages or creating good-paying jobs" )と述べたそうである。

 

  Need to renegotiate trade deals not working for US: Hillary Clinton,Business Standard,16.6.22

 

  クリントン氏は昨年10月にも同様な見解を示しているが、それは強硬なTPP反対の立場を鮮明にしている予備選の対抗馬・サンダース氏に対抗するための選挙戦術であり、指名が確実になればオバマ氏のTPP推進に同調するのではないかともみられてきた。しかし、その主張はどうやら本物だった。本選挙の対抗馬、共和党候補のトランプ氏はクリントン氏以上にTPP反対を明確にしており、本選挙を戦うために「再交渉」を求める姿勢を一層鮮明に打ち出したのだろう。どっちが勝っても、再交渉は必定だ。

 

 オバマ大統領は来年120日の任期切れまでのTPP批准を望んでいるが、この望みは到底叶いないそうにない。再交渉となれば、批准はいつのことか、最終的にTPPが実現するかどうかもわからない。

 

 TPPを成長戦略の柱に据える政府・自民党は、再交渉など絶対にあり得ないと秋の臨時国会での批准を目指す。参院選にあたっても、1兆円という2020年農林水産物輸出額目標を2019年に達成できるとTPPを売り込む。しかし、秋の臨時国会どころか2019年にもTPPは実現していないかもしれない。参院選の経済公約はすべてパーになる。そうでないというなら、TPPなど最初から無用だったということだ。

 どっちにしても、政府・自民党、どう責任を取るつもりだ。甘利が交渉に費やした国費は、舛添知事の比ではない。