農業情報研究所グローバリゼーション二国間 関係・地域協力ニュース2017年7月6日

日欧EPA大筋合意 企業的農業に押し除けられる小農民の声を聴け ラ・ヴィア・カンぺシーナ

 日欧EPA(日本-EU経済連携協定)交渉が大筋合意に達した。5日午後の岸田文雄外相とマルムストローム欧州委員(通商担当)との協議で「閣僚間で大枠合意の達成を確認できた」。大枠合意した内容は、6日の安倍晋三首相とトゥスクEU大統領との首脳協議で正式に決めるが、最終的な合意にはなお数ヵ月かかる。今回の大枠合意で詰めきれなかった部分を含めた最終合意は、年内に実現できるとの見通しだそうである(日欧EPA大枠合意、首脳協議できょう宣言 日本経済新聞 17.7.6)。 

 安倍政権の下でのことだから当たり前のことかも知れないが、世にも不思議な話である。自由貿協定とか経済連携協定とか言えば、事前に影響を公式評価するのが世の常である。こういう合意内容なら日本(の各経済・産業部門や消費者)にどんなプラス・マイナスの影響がある、総じてプラスだからこれこれの協定を締結すると国民に説明するものだろう。ところがそんな説明は一切抜き、日本の運命を大きく左右する協定を「保護主義的な動きのなかで世界に前向きで大きなメッセージを送ることができる」などというイデオロギーだけで決めてしまったのである。

 しかし、こんなイデオローグが作り出す自由化の大波に曝される人々、とりわけ小規模家族農家は堪ったものではない。政府は知る由もなく、マスコミも全く無関心、多くの人が聞いたこともないと言うだろうが、農民的農業(企業的でない農業)のための国際組織、ラ・ヴィア・カンペシーナの欧州協同組織と日本の農業連は、Stop Free Trade Agreements!運動を展開している。日欧自由貿易協定交渉は直ちに止めよ、自由化で被害を受けるのは日本の家族農民だけではない、欧州小規模家族農民も企業的輸出農業の拡大で土地から追い出されるというのである。

 Stop Free Trade Agreements!La Via Campesina calls for an immediate end to EU-Japan Free Trade Agreement.La Via Campesina, 17.5.23

 今からでも遅くはない、日本の政治家、支配的農民組織、Stop Free Trade Agreements!の声をあげるべきである。