農業情報研究所>グローバリゼーション>二国間 関係・地域協力>ニュース2018年1月26日 TPP11交渉決着 発効までの荒波を乗り切るのは至難の業
米国抜きの環太平洋連携協定(TPP)をめぐる参加11ヵ国の協議が決着、3月8日にチリで署名式を開くことで各国が合意したそうである。茂木敏充経済再生相は「参加国で国内手続きを進め、できるだけ早い発効を目指したい。他に関心を持つ国にも情報提供し、発効後は参加国の拡大も視野に入れたい」と気が早い。
カナダ、TPP署名へ トルドー首相「交渉は決着」
日本経済新聞 18.1.24
米抜きTPP 3月署名 新協定 凍結項目が確定 東京新聞 18.1.24
Trans-Pacific
Partnership revived after 11 nations agree to trade deal – without US,The
Guardian,18.1.23
だが、署名後の各国の承認手続きがすんなり進むとは限らない。発効に必要な最低6ヵ国での承認が早期に得られるかでうか、なお不透明だ。とりわけ、文化保護、労働紛争解決ルール、国有石油企業の扱いを巡って対立してきたカナダ、ベトナム、マレーシア、ブルネイなどの国内調整の難航が予想される。
文化保護をめぐって調整が最後まで難航したカナダでは、アジア諸国からの安価な自動車部品流入で雇用が失われると恐れる民間労組の反発もある(カナダ首相、TPP署名を表明 労組は危機感あらわ ロイター 18.1.24)。
オーストラリアでも、米国抜きのTPPの経済効果への疑念が高まり、労働党や商工会議所も協定の経済効果の再分析を求めている。ターンブル首相は米国ピーター―ソン研究所のデータを引き、TPPで国の実質国民所得は2030年までに120憶ドルも増えると言っているが、120億ドルは国の実質国民所得の0.5%に過ぎず、12年にならせば年間0.004%の国民所得押し上げ効果しかないということになる(TPP:
Tear up other trade agreements or risk becoming a 'noodle bowl', warns business,Sydney
Morning Herald,18.1.24;Trans-Pacific
Partnership's benefit to Australia 'very small',The Guardian,18.1.25)。
この状況の中、トランプがTPP再交渉などと言い始めたら収拾がつかない(トランプ氏、TPP再検討、ドル高発言の本気度 日本経済新聞 18.1.26)。茂木さん、どう解きほぐすのでしょう。 |