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インド:米国コーン食糧援助の拒否を最終的に決定

農業情報研究所(WAPIC)

03.3.18

 3月6日、インドの遺伝子操作承認委員会(GEAC)は、4時間に及ぶマラソン会議の後、遺伝子組み換えコーン(スターリンク)を含んでいるのではないかと疑われる米国からのコーン・大豆ブレンド食糧援助の拒否を正式に決定した(参照:インド、米国のGM食糧援助を拒否,03.1.7)。インドのThe Times of India(3.10)紙が報じている。

 GEACは、コーン・大豆ブレンド品の各荷が人間による消費を禁じられているスターリンクを含まないという証明書を求めていたが、米国側は、米国では食品は安全と評価され、米国人は同じものを消費しており、証明書は遺伝子組み換え(GM)作物と非GM作物を区別しない国の政策に反するとして拒否した。GEACは、証明書がないために、昨年11月の輸入拒否の決定の変更の理由がないと裁決した。

 この日、特に米国から日本への船荷にスターリンクが発見されたことから、深刻な懸念の声があがった。インド医療研究評議会(ICMR)の代表者は、特に食糧援助は既に脆弱になっている人々に配られることから、GMコーンを含むコーン・大豆ブレンドを長期にわたり摂食することの影響について警告した。また、援助配布後の監視のメカニズムがなく、実際に何が起きたか誰にも分からないことにも注意を発した。

 会合では、米国のGM作物承認過程、人間または動物の消費用に承認された品種、食品安全評価の結果、受益組織の名称や健康モニタリングのための取極めなど、広範な問題が論議されたが、なおいくつかの問題が残った。

 第一は、米国がGM作物と非GM作物の区別を考えていないことから、証明は問題外とされたことである。第二に、米国は、食糧援助の荷がGM成分を含むかどうか、自主的に情報を開示しないことが分かったことである。しかし、インドのルールは、輸入機関と輸出国にこれを申告するように要求している。第三に、今までのところではスターリンクは検出されておらず、存在する可能性は最小限であると保証されたとしても、コーンの退化した変種が検出されることなく荷に入り込む可能性を否定できないことである。