バイオテクノロジー西アフリカ会合、出席4元首はGMO利用に好意的だが慎重

農業情報研究所

04.6.23

 遺伝子組み換え作物(GMO)を売り込もうとする米国の肝いりで開かれた西アフリカ会合で(⇒米国、ブルキナ・ファソでGM作物売り込みの西アフリカ会議,06.6.22)、出席した4元首は、いずれもその利用に好意的だが、同時に非常に慎重な姿勢も見せた。

 AFP等の報道(*)によると、マリのアマドゥ大統領は、農業の能力を増強し、アフリカの換金作物の競争力を高めるバイオテクノロジーに関連した「利点」を強調しながらも、「我々の義務はわが国民に食糧安全保障だけでなく、食品安全も提供することだ」と言明した。彼は、「我々は、革新に向けての跳躍を拒否してはならないが、依存の同義語であってはならないバイオテクノロジーで最も重要なことは、リスクを最小限にすることだ」と述べた。

 ニジェールのママドゥ大統領は、「バイオテクノロジーが農業に革命をもたらしてきたこと、アフリカ農業の能力を改善するために利用できることは確かだ」と認める。いかし、「革命的だが未だ十分に解っていないこの革新の環境的・経済的・社会的影響を完全に知るためには、(バイオテクノロジー)は仔細に研究されねばならないというのが基本と思われる」と言う。ニジェールは、ブルキナ・ファソで実施中のBtワタの実験の結果を注視しているという。

 ブルキナ・ファソのコンパオレ大統領は、「アフリカは人類の揺りかごだが、今日、人々の進歩と福祉を確保する不可欠な発見をなすという点で遅れをとっている」と強調、ガーナのクフォー大統領も、「わが政府はバイオテクノロジーに魅了されており、失うべき時間はない」と呼応した。彼は、過剰な農業開発のために国の「肥沃な土壌」が侵食され、薄くなるのを恐れている。

 だが、ブルキナ・ファソ大統領も、「農業における科学と技術の応用が生み出す希望は、恐怖と論争を伴っている」と認めた。彼は、「基礎食料の供給を確保するための努力において、バイオテクノロジーのアフリカでの利用は、バイオセキュリティーの完全な理解と手を携えて進まねばならない」と言明した。

 米国は、耕耘、播種、病害防除、干ばつ管理などのための新たな技術を展示、GMO推進に限られない技術移転や研究資金提供を約束した。だが、肝心のGMO売り込みに関しては完全に成功したとはいえないようだ。

 *Conférence sur les OGM: quatre présidents africains "favorables mais prudents" ,Agrisalon,6.22;Food safety key to food security, west Africa says after US makes GMO pitch ,AFP,6.21

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