ブラジルバイテク委員会、GMトウモロコシ輸入を承認 GMライス承認も考慮

農業情報研究所(WAPIC)

05.3.25

 ブラジルの国家バイオ技術委員会が40万トンの養鶏飼料用遺伝子組み換え(GM)トウモロコシの輸入を承認した。22付けのSt. Louis Business Journalがロイター発の情報として伝えた。GMトウモロコシの輸入は、今までは禁止されてきたが、南部のトウモロコシ生産州の厳しい干ばつで需給が逼迫、国内価格が上昇していることを考慮しての決定という。

 しかし、委員会はつい最近、これまで全く栽培されてこなかったGMワタの栽培を承認しれたばかりだ(ブラジル規制機関、GMワタ栽培を承認,05.3.24)。矢継ぎ早の新規GMOの承認は、GM作物・食品の販売を合法化する「バイオセーフティー法」が今月初めに議会を通過(ブラジル議会、ES細胞研究とGM作物栽培に関するバイオセキュリティー法案を最終採択,05.3.4)、GM製品放出に関する決定権限を環境・保健・農業大臣から取り上げ、この委員会に集中させたことが関係していると思われる。この法律は未だ大統領の署名を待っている段階で、発効したわけではない。それでも、委員会はすっかり強気になったようだ。身軽になった委員会の下で、ブラジルのGM作物・食品の導入に拍車がかかりそうだ。

 現在、新たな栽培許可の対象として、モンサント、バイエルクロップサイエンス、シンジェンタが開発したトウモロコシ、モンサントとバイエルが開発した二つのタイプのGMトウモロコシ、一タイプのGMライスを考慮中という。

 シルバ環境相は、米国での研究結果はここには適用できないと、GM作物導入の許可の前にブラジル現地での環境影響、とりわけアマゾンの生物多様性に与える影響の研究を主張してきた。それでは開発のための時間と費用がかかりすぎ、事実上の禁止に等しいと反対してきたモンサントを始めとするに多国籍巨大種子企業が勝利した今、ブラジルの誇る豊かな生物多様性・遺伝資源はどうなってしまうのか、真に憂慮される事態になってきた。