インド GM作物承認を”イベント・ベース”に変更 承認過程を大幅に短縮

農業情報研究所(WAPIC)

06.7.4

 インド環境森林省が、遺伝子組み換え(GM)作物の承認過程を速めるために、遺伝子操作承認委員会(GEAC)が従来行ってきたケース・バイ・ケースの承認過程を”イベント・ベースの承認システム”に変えることを決めた。これはGEACの勧告に従う決定という。

 ここに言う”イベント”とは、既存作物に合体させることのできる特定の遺伝子構造を指す。ケース・バイ・ケースの承認過程では、イベントが既存のものであるか新しいものであるかを問わず、安全性や農学的性能を調べるために各品種ごとに最低でも3年間の公的試験を行わねばならなかった。しかし、イベント・ベースの承認過程では、既に承認されたイベントについては、このような過程が省略される。

 公式発表は、これにより安全性を損なうことなく承認が迅速化されるとしている。GEACは、農学的性能の評価は行われねばならないが、完全な評価は必要がない、Bt技術の有効性の評価で重要なパラメーターは遺伝子またはイベント、蛋白質発現のレベル、形態(構造)的特徴の確認だと言っている。蛋白質発現レベル、病気に対する感受性、繊維の長さや強さのようなパラメーターは考慮されようが、これらのパラメーターによる有望品種の選抜は経済的利得に貢献するという。

 Faster approval process for GM crops,Hindu Business,7.4

 とはいえ、Btワタが害虫に効かないという報告はこれまでにもあり、アンドラプラデーシュ州が販売を禁止した例もある(インド Btワタが播種後110日で標的害虫に無効化の新研究,05.8.3、インド公的農業研究 米国民間企業に開放 農業バイテク推進が最大の狙い?,05.11.14)。農民を自殺に追い込むような粗悪な種子が続出する可能性など考えていないのだろうか。

 この発表と同時に、2006年のBtワタ栽培面積は前年よ120万ha増加、325万haに達することも明らかにされたという。