タイとベトナムの米輸出業界 GM米排除で合意 EU市場へのアクセス拡大を期待

農業情報研究所(WAPIC)

06.11.29

 バンコク・ポスト紙の報道によると、タイ輸出業者協会とベトナム食品協会が先週、遺伝子組み換え(GM)作物の排除を続ける協定を結ぶことに合意した。この協定は来年3月に発効する。

 タイの輸出業者は、EUが未承認GM米の混入で米国からの米の輸入に厳しい規制を課し、米国に代わる米の調達先を探しているから、この協定はタイとベトナムの米輸出業者にEU市場へのアクセス拡大の大きな機会を与える、この機会を逃す手はないと言う。タイのジャスミン米のEUへの輸出量は年に2万5000トンほどで、米国の3万トンに遅れをとっている。

 グリーンピース東南アジアの活動家は、この民間イニシアティブを歓迎しながらも、GM米汚染の脅威は大きく、協定は他のアジア諸国にも拡大することが必要だと言っているという。

 Agreement on non-GE policy,Bangkok Post,11.28
 http://www.bangkokpost.com/281106_News/28Nov2006_news08.php

 なお、世界第三の米輸出国・インドの米輸出協会も先月末、EU市場を失うことを恐れ、インドにおけるGM米実験反対運動への合流を表明している(インド米輸出業界 ヨーロッパのGM米汚染で国内GM米実験反対へ GM技術退潮の恐れ,06.11.1)。

  ただ、今後これらの国がどこまで輸出を拡大する余地を持つかは疑問だ(ベトナム 自然災害と病虫害で米輸出停止 アジア・世界の米の将来に暗雲,06.11.15)。国内消費者を犠牲にした輸出拡大であってはならないだろう。