GMトウモロコシ・MON863は安全とは結論できないーフランス研究者のピア・レビュー論文

農業情報研究所(WAPIC)

07.3.27

 フランス研究チームが、モンサント社の害虫抵抗性遺伝子組み換え(GM)トウモロコシ・MON863は必ずしも安全とは言えないと結論する新たな研究を発表した。

 MON863は、これを食べさせられたラットの腎臓が小さく、血液成分にも変化があったと認めるモンサント自身の秘密研究の存在が暴露されたいわく付きのGMトウモロコシ品種だ(モンサントのGMトウモロコシ・MON 863、健康悪影響を示唆する秘密研究が露見,05.5.26)。それは、ドイツ法廷の命令で全面公開された同社の実験(90日間のラットへの給餌試験)データを再評価した欧州食品安全機関(EFSA)による安全のお墨付きを得て、2005年8月に欧州委員会が最終的に販売を承認した(欧州委 GMトウモロコシ・MON 863を承認 販売実現の見込みはなし,05.8.9)。しかし、この安全性評価に関してはなお論争がくすぶっている。

 フランス研究チームはモンサントのデータの再解析と追試により、MON863を食べたラットの生長に見られる(食べた量に応じた)有意な変化(雄で3.3%の体重減少、雌で3.7%の体重増加)と腎臓・肝臓に対する毒性を確認した。チームは、安全性の確認には長期実験が不可欠で、現在のデータをもってしてはMON863が安全な製品であるとは結論できないと言う。

 ピア・レビューを受けていないなどとイチャモンをつけられたロシア研究者のGM大豆を食べたラットの子への悪影響を示す研究とは異なり、この研究はれっきとしたピア・レビュー誌・Archives of Environmental Contamination and Toxicologyに発表されたものであることを付け加えておく。

 Gilles-Eric Séralini,Dominique Cellier and Joël Spiroux de Vendomois,New Analysis of a Rat Feeding Study with a Genetically Modified Maize Reveals Signs of Hepatorenal Toxicity, Archives of Environmental Contamination and Toxicology,published online: 13 March 2007;Abstract