ドイツ GMトウモロコシ・MON810 栽培を事実上禁止 モンサントに環境監視計画提出を要求

農業情報研究所(WAPIC)

07.5.11

  ドイツ・シュピーゲル紙国際版が伝えるところによると、ベルリンの日刊紙・Der Tagesspiegelが、MON810系統の遺伝子組み換え(GM)トウモロコシ種子は、これを販売する企業が同時にその環境影響を研究するモニタリング計画も提供するときにのみ栽培農家に手渡すことができるとするモンサント社宛ドイツ連邦政府書簡を入手したそうである。また、ドイツ通信社・DPAも同じ書簡を入手したと発表した。

 これはMON810栽培の事実上の禁止に等しい。書簡は、新たな情報が「MON810の栽培が環境に危険をもたらすと考える理由を与える」とこの措置を正当化しているという。

 Germany Tightens Restrictions on Genetically Modified Corn,Spigel Onlien International,5.9
  http://www.spiegel.de/international/business/0,1518,481952,00.html

 農業省報道官は、この書簡は、GMトウモロコシ栽培の”禁止”ではなく、それに関する規制の強化と解釈すべきだと言っている。しかし、ドイツ最大のGMトウモロコシ栽培州であるブランデンブルク州の農業省の遺伝子技術責任者・ピーター・ルドルフ氏は、モンサント社は今までのところ、いかなるモニタリング計画も提出していないから、これは、基本的にはモンサントがもはやMON810の販売を許されないことを意味する、従っ、「GMトウモロコシ栽培の事実上の禁止に等しい」と言っている。さらに、新たな規制は、既に栽培されている作物の収穫が許されないことも意味する可能性もあるという。

 なお、MON810の販売・栽培はEUレベルでは既に承認されているが、オーストリアとハンガリーが禁止を続け、EU加盟国多数派もこれを支持しているために、欧州委員会の要求する禁止解除はなお実現していない。

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