米農務省 薬剤用人間蛋白質を生産するGM米の商業栽培を承認

農業情報研究所(WAPIC)

07.5.17

  米国農務省動植物検疫局(APHIS)が16日、人間の蛋白質を生産する遺伝子組み換え(GM)米の圃場栽培の環境への重大な影響は認められないと、このGM米をカンザス州で商業栽培するヴェントリア・バイオサイエンス社(Ventria Bioscience、サクラメント)の計画を承認した。

  Federal Register Notices Posted or Open for Public Comment-Federal Register / Vol. 72, No. 94 / Wednesday, May 16, 2007 / Notices,pp.27539-40
  http://www.aphis.usda.gov/brs/fedregister/BRMay 16, 2007S_20070516a.pdf

 これにより、同社は、カンザス州ギアリー郡の最大限3200エーカーの土地で、この下痢治療薬に使われる蛋白質を生産するGM米を栽培できることになる。しかし、この米の商業栽培には、食品や飼料への混入を恐れる、とりわけ食品業界が強く反対してきた。昨夏はバイエル・クロップサイエンス社の未承認GM米の通常長粒米への混入が発覚、輸出に頼る米農家に多大な損害をもたらした。承認された栽培地から半径300マイル以内での商業的米栽培はないというが、この承認は、食品業界や米農家の不安を高めるだろう。

 この承認申請に関しては20034のコメントが寄せられた。うち承認に賛成のコメントは29だけで、それらは学界、一つのファーム・ビューロー、コーン・グレーンソルガム生産者協会、一つの企業、一つの州政府機関、複数の個人から出された。

 他方、20005のコメントは承認に反対だった(ただし、一グループはほとんど区別のつかない13289のコメントを提出、またそのうちの5621は他のグループが出したコメントと重なった)。反対コメントは学者、有機食品生産者、米生産者、製粉業者(またはその関連業界)、個人(いずれも複数)の4つのグループから出されたものという。

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