カリフォルニア議会 クローン動物製品に表示義務

農業情報研究所(WAPIC)

07.9.20

 カリフォルニア州議会上院が先週、クローン動物由来の製品を含むすべての包装商品に、その旨表示することを義務づける法案を採択した。

 この法案は、食品医薬局(FDA)によるクローン動物製品の人間消費用販売の承認に備えたもので、提案者はその声明で、「カリフォルニアの消費者は、自分が何を食べているのか、子供に何を食べさせているのか知りたがっている」と言っている。

 FDAは昨年12月、クローン牛・豚・山羊の肉と乳は、通常の動物からの食品と同様、食べても安全という決定案を承認した(米国FDA クローン動物食品は食べて安全 だが食品安全性を問うだけで十分なのか,07.1.6)。この案に対するパブリック・コメントは5月に締め切られ、今年中には正式に承認される可能性があるという。

 シュワルツェネッガー知事は、10月21日までに署名するか、拒否する。

 California Senate Passes Cloned Meat Labeling Bill,Cattle Network,9.17

 FAOによれば、過去7年の間、1ヵ月に少なくとも1家畜種が消滅してきた。そして世界の家畜種のおよそ20%が絶滅の危機にある(Global plan of action for animal genetic resources adopted,07.9.11)。家畜遺伝資源の急速な減少に拍車をかけるであろうクローン技術の畜産への応用に、このような表示義務が歯止めをかけることを期待したい。

 産業の関心は経済的利益だけだ。遺伝子組み換えやクローンなどに狂奔する現代の(農業)バイテク技術者は、安全ならば何をしても構わないと考える。そんなものが何故必要なのか、本当に必要かなどとは決して考えない。バイテクをメシのタネとして護持したいだけだからだ。歯止めをかけられるのは消費者だけだ。

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