EU環境担当相 二種のGM(Bt)トウモロコシ栽培禁止方針を公に確認

農業情報研究所(WAPIC)

07.11.26

 11月21日付のインタナショナル・ヘラルド・トリビューン紙が、「EU環境当局者が二種の遺伝子組み換え(GM)トウモロコシが蝶に有害で、食物連鎖を変え、水生生態系を撹乱する可能性があると決定、パイオニア・ハイブレッド社、ダウ・アグロサイエンス社、シンジェンタ社の種子の販売の禁止を提案した」と報じた。

 EU officials propose ban on genetically modified corn seeds,International Herald Tribune,11.21
 http://www.iht.com/articles/2007/11/21/business/GMO.php

 ほぼ1ヵ月前、EUのディマス環境担当委員が二つのタイプの殺虫性GMトウモロコシの栽培許可の拒否を提案するだろうと報じたル・モンド紙(EU環境担当委員 Btトウモロコシ2種の拒否を要請 標的害虫以外の生物に悪影響の恐れ,07.10.27)も翌日、11月22日にディマス委員がこれを公に確認、”私は、許可申請を拒否する意見を出そうと考えている”と発表したと伝えている。

 Bruxelles envisage d'interdire deux semences OGM qui seraient nuisibles aux papillons,Le Monde,11.22
 http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0@2-3244,36-981219@51-980927,0.html

 インタナショナル・ヘラルド・トリビューン入手した欧州委員会内部に回されているディマス委員の決定案においては、このGMトウモロコシは、一定の蝶類、特にオオカバマダラやその他の益虫影響を与える恐れがある、たとえば、2007年の研究は、GMトウモロコシに暴露されたオオカバマダラの幼虫が他の幼虫と異なる行動をしたことを示していると言われている。

 また、ダウとパイオニアが生産するトウモロコシ種子に関する決定では、”回復不能な環境損傷の可能性”、シンジェンタ社のトウモロコシに関する決定では、”この製品の栽培により生み出されるリスクのレベルは容認できない”と述べられているという。

 この決定案は、欧州委員会内部のみならず、バイテク産業、米国等もかかわる大論争を引き起こすことになるだろう。

 次も参照のこと
 Proposed Ban on Genetically Modified Corn in Europe,The New York Times,11.23
 http://www.nytimes.com/2007/11/23/business/worldbusiness/23gene.html

 関連情報
 Btトウモロコシがトビゲラ→水生生態系に悪影響の恐れ 米国の新研究,07.10.11