補助犬基礎知識

補助犬とは

 補助犬(身体障害者補助犬)とは、障害を持つ人を補助する犬の総称です。
 補助犬には、視覚障害者を補助する盲導犬・聴覚障害者を補助する聴導犬・肢体不自由者を補助する介助犬がいます。さらに、海外ではてんかんなどの発作の予兆を感知して知らせるアラート犬などもあります。

 日本では、948頭の盲導犬、10頭の聴導犬、28頭の介助犬が実働しています。
 (盲導犬は2004年3月、聴導犬と介助犬は2005年4月の数字です)

盲導犬

 視覚障害者の補助として、主に屋外での歩行の誘導を行います。障害物を避けるだけでなく、曲がり角や段差などを教えたり、車などの危険を避けることも役目です。ドアノブの位置などを教えるよう訓練されている場合もあります。
 ラブラドール・リトリーバー、ゴールデン・リトリーバーと、この2種の交配種が、日本の盲導犬のほとんどを占めています。かつてはジャーマン・シェパードも多く使用されていました。海外ではドーベルマンなども使用されています。
 誘導のため、長いハンドルの付いたハーネス(胴輪)を着用しています。道路交通法により、ハーネスの色は白または黄色と定められています。

聴導犬

 聴覚障害者の補助として、日常生活に必要な音を聞き分けて知らせます。例えば、ドアノックの音、目覚まし時計の音、使用者の名前を呼ぶ声、背後から来る自動車の音などです。
 人によって必要とする音は違うので、使用者に合わせて個別に訓練されます。
 どのような体格の犬でもよいので、日本でも海外でも、主に保健所などから選ばれた雑種犬が使用されています。
 聴導犬であることが表示された、ケープなどを着用しています。ケープの色はオレンジ色が多いようです。これは、アメリカで聴導犬のシンボルカラーとしてオレンジ色が用いられているためです。

介助犬

 肢体不自由者の補助として、日常生活動作を補助・代行します。代表的な作業は、ドアを開ける、スイッチを押す、必要な物を取る、姿勢を変えるのを補助する、着替えを補助する、車椅子での移動を補助するなどです。
 人によって必要な補助やその方法が違うので、使用者に合わせて個別に訓練されます。
 力があり、物を運ぶのが得意なリトリーバーが多く使用されていますが、使用者によっては、小型犬や、超大型犬が必要な場合もあり、犬種は限定されません。
 介助犬であることが表示された、ケープやバックパックを着用しています。身体を支えたり、車椅子を動かしたりするための特別なハーネスを着用している場合もあります。

補助犬Q&A

Q. 咬みついたりしませんか?

A. 補助犬になる犬は、性格が優しく、攻撃性のない犬です。また、子犬の頃から愛情を注いで育てられ、十分に訓練されているので、人や動物を攻撃することはありません。補助犬として働いている犬は、仕事が出来るかどうかと共に、周囲の人にとっても安全で問題がないかの審査を経て、認定を受けています。安心して見守ってください。
 犬が怖い人や、犬にアレルギーがある人は、「犬が怖いので」「犬アレルギーなので」と使用者に声をかければ、使用者が、なるべく近づけないようにするなどの配慮をします。

Q. 人間に働かされてかわいそう?

A. 補助犬は、必要とされる仕事に合った気質、体格の犬が選ばれて、適切な訓練を受けるので、仕事が過度な負担になることはありません。
 人間に強い愛着を持ち、作業意欲のある犬は、人と共に行動し、役割を与えられるのを喜びます。補助犬にとっても、大好きな使用者と常に一緒にいて、必要とされ、「グッド」と感謝される生活は、幸せなのではないでしょうか。
 私たち使用者も、補助犬の体調や表情には常に気を配って、無理をさせないようにしていますし、補助犬との信頼関係を大切にし、生活を支えてくれる補助犬に対して、心からの愛情と感謝を注いでいます。
 聴導犬と介助犬は歴史が浅いので十分なデータがありませんが、盲導犬は、家庭で飼われている同じ種類の犬と同じくらい長生きしていることが分かっています。「寿命が短い」という話は、引退の年齢を死亡の年齢と取り違えた誤解と思われます。

Q. 補助犬を増やすためにできることは?

A. 補助犬は全国で1000頭未満しかいません。補助犬を希望している人・必要としている人の数に比べて、とても少ない数です。
 補助犬が増えない理由は、予算が足りないことだけでなく、障害を持つ人が補助犬と暮らすことをためらってしまうこともあります。「補助犬がいることで、レストランに入れなかったらどうしよう?」「近所の人に嫌がられるのでは?」などの不安を感じている人も多いのです。
 使用者の立場から、「障害者と補助犬が受け入れられる社会づくり」をお願いします。
 また、補助犬を使用していない障害者も暮らしやすいように、バリアフリーへの配慮や、ちょっとした手助けをする気持ちを多くの人が持つことも必要です。

Q. 補助犬が欲しい! どうすれば?

A. 補助犬を育成している協会や団体には、それぞれポリシーがあり、個性があります。自分に合った協会や団体を探してください。きちんとした協会・団体なら、どこでどのような手続きをすればよいのかを、きちんと教えてくれます。
 補助犬を育成する協会や団体のリストは、厚生労働省の「ほじょ犬」ホームページ内にあります。
 補助犬との暮らしには、大変な部分も多く、犬には出来ないこともあります。補助犬が欲しいと思ったら、出来れば(イベントのデモンストレーションでなく)実際の補助犬の様子を見たり、使用者に話を聞いたりすることをお勧めします。
 NEW VOICEの交流会などへのご参加も歓迎します。


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