カナダ 14、15例目BSE 飼料の禁止物質汚染の可能性は排除できない
09.3.18
カナダ食品検査局(CFIA)が16日、カナダ14例目、15例目(米国ワシントン州で発見されたカナダ生まれの牛のケースを含めると15例目、16例目)となる狂牛病(BSE)の調査結果を発表した。
14例目の牛は2002年3月2日生まれで、死亡時に76ヵ齢の肉用牝牛(Gelbvieh cross)、生まれてから死ぬまで同一農場で過ごした。感染源は特定できなかったが、飼料製造過程で禁止物質汚染が起きた可能性は排除できないという。二つの飼料製造者のうちの一つは、汚染防止手続は実施していたものの、反芻動物肉骨粉(禁止物質)を扱っていた。もう一つの製造者は禁止物質を扱っていなかったが、飼料への混合成分を禁止物質を扱う別の施設から受け入れていた。
15例目の牛は2001年1月1日生まれの乳用牛(ホルスタイン)で、死亡時には94ヵ月齢だった。感染源はやはり特定できなかったが、BSE感染性へのありそうな曝露源は汚染された可能性のある未経産牝牛飼料のように見える。しかし、少量の哺乳期飼料(代用乳?)の摂取に関連したリスクも存在し、これが汚染されていた可能性も排除できないという。
 Report on the Investigation of 
the Fifteenth Case of Bovine Spongiform Encephalopathy (BSE) in Canada,CFIA,4.16
 http://www.inspection.gc.ca/english/anima/heasan/disemala/bseesb/bccb2008/15investe.shtml
 Report on the Investigation of the Fourteenth Case of Bovine 
Spongiform Encephalopathy (BSE) in Canada,CFIA,4.16
 http://www.inspection.gc.ca/english/anima/heasan/disemala/bseesb/ab2008/14investe.shtml
CFIAは、「サーベイランスが実証するように、1997年に実施されたフィードバンがカナダの飼料システムにおけるBSEの増幅を有効に防いでいる」というが、この調査結果と の整合性はどう考えるのだろうか。よく分からない。
ただし、このような疫学調査といい(飼料、獣医薬、肥料などを列挙するだけの日本のおざなりな疫学調査よりはずっと真摯な調査が行われているようだ)、サーベイランスといい、2007年以来の強化された飼料規制といい(カナダ BSE飼料規制強化=SRM完全廃棄の実施へ BSEリスクを米国に移転の結果に,07.7.12)、「管理されたリスク」国とは名ばかりの米国に比べ、今ではカナダがずっとその名にふさわしい管理体制を持つことは事実である。
  関連情報
 カナダ 養鶏飼料が特定危険部位汚染 問われる飼料規制の有効性,09.3.31
 米国 BSE飼料規制強化実施を60日間延期 強化案自体を見直せと業界団体,09.4.8
 
なお、今回の調査結果を踏まえ、カナダのBSEのケースの一覧の改訂版を掲げておく。
カナダ生まれの牛の狂牛病確認例
| 
       確認年月  | 
      
       発生地域(出生地域)  | 
      
       畜種  | 
      
       年齢または出生年  | 
    |
| 1 | 2003.05 | 
       サスカチェワン州・アルバータ州隣接地域  | 
      アンガス | 
       8歳(1995年)  | 
    
| 2 | 2003.12 | 米国ワシントン州(アルバータ州) | ホルスタイン | 
       1997年  | 
    
| 3 | 2005.01 | アルバータ州 | ホルスタイン | 
       1996年  | 
    
| 4 | 2005.01 | アルバータ州 | 肉用牛・シャロレー | 
       1998年  | 
    
| 5 | 2006.01 | アルバータ州 | 交雑種 | 
       6歳(2000年)  | 
    
| 6 | 2006.04 | ブリティッシュ・コロンビア州 | 乳用牛 | 
       6歳(2000年)  | 
    
| 7 | 2006.07 | マニトバ州 | 交雑種 | 
       ‹15歳  | 
    
| 8 | 2006.07 | アルバータ州 | 乳牛 | 
       50ヵ月齢(2002年)  | 
    
| 9 | 2006.08 | アルバータ州 | 肉用牛 | 
       8-10歳  | 
    
| 10 | 2007.02 | アルバータ州 | 非去勢雄牛 | 
       79ヵ月齢(2000年)  | 
    
| 11 | 2007.05 | ブリティッシュ・コロンビア州 | 乳牛 | 
       66ヵ月齢(2001年)  | 
    
| 12 | 2007.12 | アルバータ州 | 肉用牛 | 13歳(1994年頃?) | 
| 13 | 2008.02 | アルバータ州 | 乳用牛 | 
       6歳(2002年頃?)  | 
    
| 14 | 2008.06 | ブリティッシュ・コロンビア州 | ホルスタイン(乳用) | 61ヵ月 | 
| 15 | 2008.08 | アルバータ州 | 肉用牛 | 76ヵ月(02.3) | 
| 16 | 2008.11 | ブリティッシュ・コロンビア州 | ホルスタイン(乳用) | 94ヵ月(01.1) | 
(このほか、1993年にアルバータ州で英国からの輸入牛に狂牛病が確認されている)