米国FDA 食品容器のBPAに対する態度を変更 胎児・幼児の脳・行動・前立腺に影響の恐れ
10.1.16
米国食品医薬局(FDA)が、安全だから規制の必要はないとしてきた食品・飲料缶やプラスチックボトルなどに含まれるビスフェノールA(BPA)に対する態度を大きく変えた。
2008年8月に発表された容器から飲食料品に溶け出すBPAの健康影響に関するリスク評価案は、この形でのBPAへの暴露の現在のレベルならば安全とするものであった。
http://www.fda.gov/ohrms/dockets/ac/08/briefing/2008-0038b1_01_02_FDA%20BPA%20Draft%20Assessment.pdf
この評価案は、FDA専門委員会から「欠陥だらけ」という批判を浴びた。一部の石油化学メーカーや哺乳瓶メーカーが自らBPAの使用をやめ、再三規制案を提案する議員も現れた。カナダはいち早く規制に乗り出した。それにもかかわらず、FDAは規制も拒んできた。
米国FDAのBPA安全性評価は欠陥だらけ 全面的に見直せー独立専門委員会,08.10.29
米議会リーダー BPA使用飲食料品容器全てを禁止する法案の提出へ,09.3.15
カナダ ビスフェノールAを毒物指定 含有哺乳瓶禁止や環境放出規制を提案,08.10.22
ところが、1月15日、「微妙な(subtle)影響を検査する新たなアプローチを使う最近の研究の結果に基づき、アメリカ国立衛生研究所の国家毒性学プログラムもFDAも、BPAが胎児、幼児、年少の子供(fetuses, infants, and young children)の脳、行動、前立腺に影響を与える可能性について多少の懸念を抱く」と発表した。そして、FDAの国立毒性学研究センターは毒性学プログラムと協力、BPAのリスクに関する基本的問題に答え、不確実性を解消するための綿密な研究を行っているという。
さらに、暫定的に次のような措置を講じるという。
●食品中のBPAへの人の暴露を減らすリーズナブルな手段。これには、次のものが含まれる。
・産業が米国市場向けのBPAを含む哺乳瓶と幼児飲食用カップの生産を停止するのを支援。
・幼児食缶のライニングに使うBPA代替品の開発の促進。
・その他の食品缶のライニングにBPA代替品を使うか、BPAを最小限にする努力の支援。
●BPA監視のための一層堅固な規制フレームワークへのシフトの支援。
●BPAをめぐる科学に対するさらなるパブリック・コメントと外部の意見を求める。
ただし、乳幼児用のミルクや食品の使用を変えることは勧めない。栄養上の便益がBPAのあり得るリスクに勝るからという。
Update
on Bisphenol A (BPA) for Use in Food: January 2010,FDA,January 2010
http://www.fda.gov/NewsEvents/PublicHealthFocus/ucm064437.htm
関連ニュース
F.D.A.
Concerned About Substance in Food Packaging,The New York Times,1.16
http://www.nytimes.com/2010/01/16/health/16plastic.html?ref=us