農業情報研究所>グローバリゼーション>二国間 関係・地域協力>ニュース2018年12月30日
TPP11発効 工業品輸出拡大は限定的 農畜産は縮小再生産へ 今日30日、日本を含む11ヵ国が参加する環太平洋連携協定・TPP11が発効した。マスコミは世界のGDPの13%を占め、域内人口が5億人を超える新たな巨大自由貿易圏が誕生などと囃したてる。
中には、「効果は大きい。国際貿易投資研究所の高橋俊樹研究主幹によると、日本からの輸出にかかる関税は、カナダやオーストラリアなどの5カ国だけで1年目に約20億ドル(約2200億円)減る。・・・企業は商機をにらみすでに走り出している」などと、それが日本企業の輸出拡大に大きく寄与するかのように言いふらす者もいる(米中を横目に巨大貿易圏 TPP11発効、企業に商機 日本経済新聞 18.12.30)。
しかし、これは取らぬ狸の皮算用というものだろう。既に日本は、TPP参加10ヵ国中、カナダとニュージーランドを除く8カ国と経済連携協定(EPA)を結んでいる。これら8ヵ国の日本工業製品(自動車、同部品、電気電子製品など日本の主要輸出製品)輸入関税は既に撤廃されているか、撤廃されることが決まっている。EPAを結んでいないニュージーランド、カナダの非農産品関税率(最恵国待遇関税率)は2.3%(乗用車6.7%)、3.7%(同6.0%)にすぎない(環太平洋パートナーシップ協定(TPP)参加国の関税概況:日本参加の損得は? 農業情報研究所10.11.3)。TPP11の工業品輸出拡大効果は極めて限定的だ。
TPP発効後の日本、唯一言えることは農畜産品の輸入拡大=国内縮小再生産が始まるだろうということだけだ。
TPP11発効 道内農業に打撃必至 北海道新聞 18.12.30
<TPP発効>東北の生産者、強固な対策を国に要望 輸出拡大模索も 河北新報 18.12.30
TPP発効 県内農家さらに厳しく 酒蔵「輸出増やしたい」 秋田魁 18.12.30
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