++「BRING ME TO LIFE」間奏++

BRING ME TO LIFE

間奏・傷ついた小鳥達







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「だ、駄目だよフレイ」
 ぐいっと肩を押され、女の顔をしたフレイはややムッとする。しかし、すぐにその表情をひっこめて微笑んだ。
「…いいのよ、キラ…私、あなたと……」
「違うよ、そういう事じゃなくて…」
「…サイの事気にしてるのなら、もう」
「違う!」
 苦しげなキラに、フレイはそっとくちづけた。
 ―――だが、キラはそれも拒絶した。
「違うんだよ、フレイ………」
 彼女は本気で自分を誘惑している。
 そう悟ったキラは、仕方なく服を脱ぎ、プロテクターを外した。
 フレイの目が見開かれる。
「……………ごめん…………」
 詰られる覚悟はある。
 みんなを騙してた。そう言って責められるだろうと。

 しばらく、二人はベッドの上に座ったまま硬直していた。

 やがて、フレイはおもむろに制服を脱ぎ、さっさと下着も取ってしまうとキラに抱き着いて押し倒した。
「わっ!? フ、フレイっ」
「黙って」
 人差し指を唇に押し付けられる。
 重なった二人の肌から、二つの鼓動が重なってゆく。
「………女でも、男でも…人肌は温かいでしょう? 安心、するでしょ?」
「……フレイ………」
「……………言わないであげるわよ…誰にも。みんなにも、艦長にも。だから、もう少し…こうしていて…ね?」
 甘い囁き。

 気付けば思わず、キラもそっと彼女の背中に手を回していた。

 暖かい。
 …命のぬくもり。

 男女としてではなく、女としてでもなく、ナチュラルとコーディネイターでもなく。
 二人は、人として、癒されたがっていた。
 キラだけではなくフレイも。
 直接言えば本人は否定するだろう。ただキラを戦場へ駆らせるためだけの茶番、それだけの事だと、言葉ではそう強がるだろう。
 でも。
 彼女もまた、傷つき迷走しているだけで。
 癒されたいと願っていたのはフレイとて同じなのだ。


 敵襲を知らせる警報が鳴り響くまで、二人は姉妹のように寄り添って眠った。
 傷ついた小鳥が羽を寄せ合うように。




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