BRING ME TO LIFE
第三間奏・水面下の思惑
(2)
完全に外と遮断された、外からの干渉を一切受けない、作戦室。
呼び出したのはマリューとナタル。呼び出されたのは、フラガ。
「俺達が全員ブリッジを留守にして、大丈夫なのかよ」
「何かあれば、ノイマン少尉が対応してくれるでしょう。短時間であれば、大丈夫です」
「先日から乗艦しているカガリという少女の身元が判明しました。フルネームはカガリ・ユラ・アスハ。中立国オーブの元代表、ウズミ・
ナラ・アスハ氏の息女です」
ナタルの報告に、一瞬眉をひそめる。
「オーブのお姫様が、なんでレジスタンスなんかに…」
「そこまでは。…彼女が、すぐにでもAAを降りて、オーブの特別平和大使としてキラ・ヤマトの身元をオーブに返すよう行動を始めると、
そのために、アーガイル二等兵他四名を出向させてほしいと申し出て来ました」
「はぁ? なんだそりゃ」
呆れたフラガに構わず、淡々とナタルは告げる。
「速やかに『本部』へ報告したところ、申し出のあった五名の他に、フラガ少佐も同行させるようにと指示がありました」
「おいおい、ちょっと待て!!」
ひたすら一方的なナタルの話に、話の突飛さを怪訝に思ったフラガが割りこむ。
「本部ってどういう事だ。アラスカと、連絡が取れたのか!? それに、あのお嬢ちゃん達に俺がついてって、一体どうしろって
いうんだ! 今俺までこの艦を降りたら…」
「我々は大丈夫です。バルトフェルド隊との休戦協定が結ばれました。バルトフェルド隊の勢力圏を抜けるポイントで、本部から派遣
された護衛隊と合流予定です。それと、先方からは休戦条件として、特別平和大使にバルトフェルド隊から一名加えることを要求され、
艦長及びカガリ嬢はこれを受諾されました」
「な………」
「少佐には、何としてでもヤマト少尉を『地球連合軍』へ連れ戻すようにとの事。ヘイルウッド大佐から極秘指令がすぐに降ります」
「…………」
開いた口が塞がらない。
わけがわからないにも程がある。
「…どういうことなのか、さっぱりわからん。…俺には聞く権利があるはずだな?」
硬い表情で押し黙ったままのマリューに向き直って、彼女に尋ねる。
「それとも全て極秘扱い、とにかく指令を遂行しろ、か? 俺は工作員じゃないんだぞ」
「………。……お話します。フラガ少佐」
「少佐」
「ヘイルウッド大佐と、セイカ博士には承諾して頂いているわ。…まさか子供達に話すわけにはいかないでしょう。少佐しか頼れる人は
いないし、それに…大丈夫。少佐は信頼できるわ」
さっぱり理解できない文章を声に出してゆくマリューにも、この奇妙奇天烈極まりない指示にも、全くついていけない。
一体、何だというのだ。
「…少佐は、『エルクラーク』は…ご存知ですよね」
「? ああ。モルゲンレーテに出資してるでっかい財団だろ? あそこはとにかく、秘密管理が徹底されてるから、内情はよく知らんが。
まあ、事実上モルゲンレーテの親会社みたいなもんだって事くらいは」
「二十年前、その『エルクラーク研究機関』の遺伝子研究部門内のあるチームによって、『天使の種』とコードネームのつけられた計画が
始まりました。『キラ・ヤマト』…キラ君はその最重要サンプルの一つであり、そして唯一の成功例でもあります。だから、どうあっても
ザフトに渡すわけにはいかない。そしてオーブに渡すことも出来ない」
「おい、ちょっと待て。…………サンプル……だって…!?」
「…突飛な話で、信じられないかもしれませんが………」
全てを聞き終わった後。
フラガは、自分の顔が強張っているのがわかった。
UPの際の海原のツブヤキ…興味のある方は↓反転して下さい(大した事書いてません)
ヘイルウッド大佐。何者でしょう。
…多分実際登場することはないと思います(^^;)
まあ要するに、軍上層部にいるワケ知りなお偉いさん、ってくらいです。
そして海原の野望その2。
カレッジ組とクルーゼ隊+キラを会わせたい!!!
願望詰め込みまくりです。はい。
結構引っ張ってます、『天使の種』。
こちらは、タネ明かしまでまだもうしばらく引っ張らせていただきます。