いたい。いたい。いたい。
…ィィィイイイイイン………キィィィイイイイイイイン………
…ォォォオオオオオン………ウォォォオオオオオオオン………
…ァァァアアアアアン………ワァァァアアアアアアアン………
ハウリングのような、ドーンコーラスのような、遠吠えのような。
音のような、超音波のような、電波のような。
いたい。いたい。いたい。
なにかが共鳴している。
何?
『あつまった、いのち』
え?
『それは、太陽と、雨土と、種』
頭のなかから、体のなかから、声が聞こえる。
意志を感じる。
きみは、だれ?
共鳴している。
僕と、アスランと、カガリのいのちが、響き合っている。
それは、それは何かを揺り起こして行く。
『目覚めよう』
『さあ、ほら』
『土をやぶって、太陽の光を浴びよう』
『恵みの雨をこの身に受けよう』
『そして大地に実りを還そう』
声が。響く。
『僕は僕』 『あたしはあたし』 『俺は俺』
そうだ、この声を知っている。
いのちの奥底から思い出されてくる。
今まで気付かぬように奥底に埋められていたものが。
思い出されてくる。
――――――――――――この「声」は、自分自身。
『目覚めよう。さあ、目覚めよう』
キラを中心に、紫色の光が三人を包む。
三人―――――頭痛に頭を押さえながらもキラの苦しみ様に戸惑うカガリと、同じように頭を押さえ、痛みと戦いながらなんとかキラの
様子を見守るアスランと、頭を抱え込んで苦しむキラ。
光がキラの体から放出されたとき、その円内にいたイザークが弾き飛ばされたのだ。それがキラの咆哮と同時だったので、キラの声に
吹き飛ばされたような錯覚を覚えただけだ。
実際にイザークを弾き飛ばしたのは、キラの体から放出された光。その光はまるで、三人以外を総て拒絶するバリア。
「……………」
非常識な光景に、誰も言葉が出ない。
アイシャは、固い表情をフラガに向ける。フラガもまた、彼女と同じような顔で見返し、それから三人に視線を戻した。
よんでいる
よんでいる
ぼくのなかに
よぶこえが、きこえる
その肉体に、その精神に、その遺伝子に、その命に。
潜んだ『種』が、光を放ち。
眩しく鮮やかな彩と光を撒き散らしながら、『芽』を出した。
ふぅっ、とバリアドームのような青い光が消える。
がくっとその場にへたり込んでしまうキラ。
「………キ…ラ……」
光が消えると共に、頭痛もゆっくりと消えた。そっとアスランがキラに手を差し伸べる。
その時、近くの兵舎をロケット弾が襲った。