++「BRING ME TO LIFE」第十八章(3)++

BRING ME TO LIFE

第十八章・『発芽』
(3)









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 いたい。いたい。いたい。



…ィィィイイイイイン………キィィィイイイイイイイン………
…ォォォオオオオオン………ウォォォオオオオオオオン………
…ァァァアアアアアン………ワァァァアアアアアアアン………



 ハウリングのような、ドーンコーラスのような、遠吠えのような。
 音のような、超音波のような、電波のような。

 いたい。いたい。いたい。

 なにかが共鳴している。
 何?


『あつまった、いのち』


 え?


『それは、太陽と、雨土と、種』


 頭のなかから、体のなかから、声が聞こえる。
 意志を感じる。
 きみは、だれ?

 共鳴している。
 僕と、アスランと、カガリのいのちが、響き合っている。
 それは、それは何かを揺り起こして行く。


『目覚めよう』
『さあ、ほら』
『土をやぶって、太陽の光を浴びよう』
『恵みの雨をこの身に受けよう』
『そして大地に実りを還そう』


 声が。響く。


『僕は僕』  『あたしはあたし』  『俺は俺』


 そうだ、この声を知っている。
 いのちの奥底から思い出されてくる。
 今まで気付かぬように奥底に埋められていたものが。
 思い出されてくる。





 ――――――――――――この「声」は、自分自身。


『目覚めよう。さあ、目覚めよう』







 キラを中心に、紫色の光が三人を包む。



 三人―――――頭痛に頭を押さえながらもキラの苦しみ様に戸惑うカガリと、同じように頭を押さえ、痛みと戦いながらなんとかキラの 様子を見守るアスランと、頭を抱え込んで苦しむキラ。
 光がキラの体から放出されたとき、その円内にいたイザークが弾き飛ばされたのだ。それがキラの咆哮と同時だったので、キラの声に 吹き飛ばされたような錯覚を覚えただけだ。
 実際にイザークを弾き飛ばしたのは、キラの体から放出された光。その光はまるで、三人以外を総て拒絶するバリア。

「……………」
 非常識な光景に、誰も言葉が出ない。
 アイシャは、固い表情をフラガに向ける。フラガもまた、彼女と同じような顔で見返し、それから三人に視線を戻した。














よんでいる
よんでいる

ぼくのなかに
よぶこえが、きこえる


その肉体に、その精神に、その遺伝子に、その命に。
潜んだ『種』が、光を放ち。



眩しく鮮やかな彩と光を撒き散らしながら、『芽』を出した。































 ふぅっ、とバリアドームのような青い光が消える。
 がくっとその場にへたり込んでしまうキラ。
「………キ…ラ……」
 光が消えると共に、頭痛もゆっくりと消えた。そっとアスランがキラに手を差し伸べる。


 その時、近くの兵舎をロケット弾が襲った。




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