++イベントレポート2004/09/11大阪・3++

プロデューサーさんのコメント…DESTINYが描くテーマは




 さすがにこういったVTRのコメントは現場でメモでも取らない限り覚えていられないので、それを聞いて私が 感じたことをメインに書き連ねさせていただきます。ウザいな〜と思われましたら次の「最新映像& トークショー」へスキップして下さい。





 奇しくも大阪会場の上映日である9月11日は、三年前にツインタワービルを崩壊させ、三千人近い命が犠牲になった、同時多発テロが 起こった日。
 SEEDという作品は、戦争を描くというテーマでもあることから、その同時多発テロの影響を大きく受けたと、スタッフさんのコメントで よく耳にしました。やはり今回のインタビューでもそのことに触れておられました。
 確か、放映開始の約一年前のことですから…丁度製作の始まった時期だったのでしょうか。
 SEEDには実に沢山のテーマ、問題提起が盛り込まれていますが、中でも大きいのは、戦争を真正面から描くということ。
 無残、残酷、悲惨な現実を逃げずに描く。
 それはサイクロプスに巻き込まれた兵士の体が爆発したり、ジェネシスのγ線に焼かれた人々が弾けたり、核攻撃を受けたボアズの人々 が一瞬で焼け溶けたりする光景を、ぼかさずにしっかりした映像(アニメーション)として視聴者に提示することでもあり。
 そして、恐ろしい大量殺戮兵器のスイッチを平然としかも自分達は安全なところからONにする人間の姿や、勝つためにと当然のように 核兵器を一般市民の住居へ撃ち込ませようとする指導者の姿や、パナマで武装放棄して降伏してきた兵士達を撃ち殺していくザフト軍達の 姿や、コーディネイターだからという理由だけで相手の全てを否定するナチュラルの姿を、赤裸々に描き出してきたことではないかと、 私は受けとめています。
 それらの先にあるテーマは、『非戦』。

 反戦ではなく、『非戦』。戦わないこと。

 撃たなければ撃たれる、とアズラエルは言う。けれど、撃たれたものはまた撃ち返す。
 『殺されたから殺して、殺したから殺されて、それで本当に最後は平和になるのか』
 答えはNO。
 『殺されたから殺して、殺したから殺されて』『殺されたから殺して、殺したから殺されて』『殺されたから殺して、殺したから殺されて』
 延々とこれが続くだけ。
 『戦うしかあるまい。どちらかが滅びるまで』
 本当に?
 違う。
 『わたくし達は進化した別のものではありません。わたくし達と地球の人々は同胞です』
 これは獣の縄張り争いではない。自分の意志を伝える手段を持つ、『人間同士』なのだから。
 まず銃を降ろし、戦いをやめて、自分の主張を訴え、相手の主張を聞くこと。その上で歩み寄ること。それが戦いが終わる第一歩。

 『銃を持たずに話し合おう』
 けれどそれが出来ない人もいる。
 『オレはそんなに甘くない』
 いつまでも終わらない、殺し殺されのループを立ちきる。そのためにはまた力が必要。
 『平和を叫びながら武器を取る。それもまた、悪しき選択なのかもしれません』
 それでも守るために力が必要であることは、逃げられない現実。
 『剣を飾っておける状況ではなくなった』
 そこまで事態は悪化しているから。

 銃を下ろせば戦いはなくなる。けれど銃を手放せない人もいる。これは身を守るためのものだと。これがなければ自分も家族も守れない と。仲間も友人も守れないと。
 襲い来る存在がある以上、それは仕方のないことなのかもしれない。
 実際に戦場で死と隣り合わせの生活をしている人達にとって、まず自分が銃を下ろすという解決法は、平和な国から発信された理想論で しかないのかもしれない。
 それでも、声を上げなければ始まらないから。
 まずこちらが『銃を降ろし』、『戦いをやめ』、『自分の主張を訴え』て、そして『相手の主張を聞く』姿勢を見せなければ、何も 動かないから。

 SEEDのテーマは『非戦』。

 そうしてやっとキラたちが停戦にこぎつけた世界。
 その続編の主人公は、憎しみの連鎖に囚われた少年だった。
 地球軍のオーブ侵攻で家族を亡くした少年は、オーブ脱出後、ザフトに身を投じる。
 恐らくそれまでは平和の国で平和に暮らしていたのだろうと思う。けれど、家族を奪った地球軍と敵対する組織へ自ら参加した。
 まずは銃を下ろそうと訴えた前作。その続編の主人公は、自ら銃を持ち、自分の意志で憎しみの連鎖の中へ入り込んでいった。
 これはどういう意図なのだろうと、ずっと不思議でした。しかし今回のコメントで私のその疑問は解決しました。

 DESTINYのテーマは、『戦争が終わらないメカニズム』を描くこと。

 戦争というメカニズムを、描き出すこと。
 互いに銃を下ろせば戦争は終わる。なのになぜ戦争が終わらないのか。それを描くのがDESTINYであると、そう仰いました。
 戦争を止めることができない国(組織)も、実際にある。兵器産業で国をまかなっている以上、全世界が平和になってしまったら民が 枯渇してしまうから、戦争をなくされては困る。
 或いは、もっと複雑な事情を抱えている国(組織)もある。
 現実に、民族感情、宗教や思想、等々。挙げればきりがないほど沢山の問題が複雑に絡み合って、実際戦争は起き、そして 今も終わっていない。
 それは、何故なのか。
 そういった部分を逃げずに描く。
 それがDESTINYなのだと。

 想いだけでも、力だけでも。
 なら両方備わっていれば何を為してもいいのか。
 復讐を願い、それに見合う力を手に入れたのなら、それを果たしてもいいのか。
 滅亡を願い、それに見合う力を手に入れたのなら、それを果たしてもいいのか。
 支配を願い、それに見合う力を手に入れたのなら、それを果たしてもいいのか。
 それによって憎しみの連鎖が続き、新たな連鎖が生まれ出るのだとしても?
 何故終わらせる方法がわかっているのに連鎖は終わらない?
 その答えは恐らく、来年の9月に出るのでしょう。

 戦争が何故終わらないのかを描くDESTINY。
 では、何故終わらないのかを描き出し、それを踏まえて、ではどうしたら終わらせることができるか。
 改めてそこへ向き直り、そしてSEEDのテーマである『非戦』へと還ってくるのではないかと思いました。

 来年の今頃を期待しています。







 こんなことを言ってもどうしようもありませんが、この作品(SEED、SEED DESTINY共)には創る側として参加したかったと、切に思います。

 (それが叶わなかったからこうやってサイト作ったりイベント行ったりして好き勝手に応援してるわけですけどね!!!)


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