SHADE AND DARKNESS
three
「exist for you」〜athrun to kira〜
(4)
重たい意識が、ゆっくりと浮き上がる。
「………気が付いた?」
優しい声。
…なんだろう。
頭の芯がぼうっとして、よく…わからない。
ああ、そうだ。このひとはアスランだ。
でも、何か大事なことを忘れている気がする。
何をだろう?
考えなきゃいけない事だと、そんな気がするけれど…。
…駄目だ…やっぱり何も浮かんでこない。
優しく優しく微笑んで、アスランは僕の額にキスを落とした。
「もう大丈夫だ。キラ。もう何も心配しなくていいから」
「…………?」
「だから、もう少し休んでるんだ。…疲れてるだろ?」
「………」
疲れ…?
…よくわからない。
彼は錠剤と水を口に含むと、僕に口付ける。
流し込まれたものを拒む理由も見つからず、体に力も入らないから、僕はそのままそれを飲み込んだ。
「…おやすみ、キラ」
「……」
なんだか長い事眠っていた気がするけれど、まだ寝ないといけないのかな。
でも、アスランが笑ってるから、いいや。
…あー、この薬、効くの早い。
もう眠たくなってきちゃった…。
病室を出たアスランは、ニコル達と合流する。
「姫の様子はどうなんだよ。意識、戻ったんだろ?」
「ああ。…だが、すぐ薬を飲ませた」
「…そのほうがいいですね」
何か決意のこもった声で言いながら、ニコルが相槌を打つ。
「なら行くぞ。………今度こそ、足付きと決着をつけてやる!!」
怒りを満面にたたえたイザークの表情。アスランも厳しく頷く。ディアッカと、ニコルも。
そう、今度こそ足付きを落とす。
だがクルー達を殺しはしない。
散々キラを利用してきた報いは、艦を沈ませる程度では終わらせてやらない。
――――全員生け捕りにして、プラントへ連行する。
そして、キラを利用してきた卑怯者のナチュラルどもを、すべてのコーディネイターの前に引き摺り出して、裁きを与える。
今まで散々キラを苦しめてきた報いを。散々同朋と戦わせ、殺させてきた報いを。
当然それは、極刑であるに違いない。
そうでなければならない。
それが四人の計画だった。
「足付き、ニ分前にオーブ領海を出ました。捕捉してます」
「よし。…ザラ隊、出撃する!」
UPの際の海原のツブヤキ…興味のある方は↓反転して下さい(大した事書いてません)
少々短いですが、今回はここで一旦切ります。
ところで実際問題、4機のガンダムでアークエンジェルのクルーを生け捕りって出来るんでしょうか。
…ミラージュコロイド(ブリッツ)を上手く使えばなんとかなる…かな?
とはいえ更に雲行き怪しいです。
うーん、ちょっと今悩んでいるんですが…ひょっとしたら途中から裏に移動するかもしれません…。