ヤドリギの花
Viscum album ssp. coloratum

1.雄株と雄花

ヤドリギは、春3〜4月に花を咲かせます。 ヤドリギは雌雄異株ですので、雄花をつける雄株と、雌花をつける雌株とがあります。
雄花は直径7mmほどで、黄色い4枚の花被片があり、蜜は無く、花被片の内側に葯が張り付いています。 (図1・2)

図1 ヤドリギの雄株 図2 雄花 花被片の内側に葯


葯は網目状に裂けて花粉を出します。 (図3) 花粉は球状で表面には不規則な突起がついています。 (図4)

図3 雄花の葯 網目状に裂けて花粉を出す 図4 ヤドリギの花粉


2.雌株と雌花


こちらは雌株です。 果実の脇から伸びた枝の先に雌花が咲いています。 (図5)  雌花は直径2mmほどでとても小さいので、注意してみないと花が咲いていることに気がつかないくらいです。 雌花はたっぷりと蜜を出します。 (図6)

図5 雌株 果実と小さな雌花 図6 雌花 直径2mmほどで、とても小さい


『週刊朝日百科 植物の世界 』(1995)には、「雌しべの子房の内部には基部に1〜数個の胚珠があり、この胚珠は珠皮も珠心も退化して、胚嚢が胎座に埋まっている状態のものである。」と書かれてあります。
この子房や胚珠のようすを観察してみましたが、普通の植物の子房や胚珠のつくりとは違っていて、いったいどこに胚珠があるのかよくわかりませんでした。 (図7)

図7 雌花の子房のようす 


3.訪問昆虫

ヤドリギの雌花には、蜜がたっぷり出ています。 いったいどんな訪問者が来るのでしょうか? 
花は直径が2mmほどしかありませんので、鳥ではなさそうです。 しばらく見ていたら、蜜を吸いに訪問者がやってきました。 小さなこの昆虫は「ヒメコハナバチ」の仲間でした。 (図8・9)

図8 ヤドリギの雌花に訪れた昆虫 図9 ヒメコハナバチの仲間

  【 参考文献 】
   ・堀田 満  1995 「週刊朝日百科 植物の世界 」 4-110 朝日新聞社
   ・清水 建美 2001 「図説植物用語事典」 八坂書房

                                                              (2008.4.20)


 
1.ヤドリギの果実    2.ヤドリギとヒレンジャク    3.ヤドリギのviscin組織    4.ヤドリギの花

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