タイ:鳥インフルエンザ根絶委、「全体的」養鶏法を求める 有機農業を強調

農業情報研究所

04.9.7

 バンコク・ポスト紙の報道によると、6日、タイの鳥インフルエンザ根絶国家委員会が「全体的(holistic)」養鶏方法を開発するための二つの小委員会の設置を要請、産業の将来の方向付けを助けるために有機農業を強調した(Holistic plan for raising fowl,Bangkok Post,9.7)。鳥インフルエンザを予防するワクチンの利用に関する2ヵ月にわたる研究のレビューの末、この結論に達したという。

 ユーコン畜産開発局長によると、委員会はワクチン利用については賛否両論を提出したが、タイで使用すべきかどうかについては決定しなかった。養鶏小委員会が1ヵ月前に議論した以前の計画は、家禽のタイプに応じて様々な方法を採用するものだった。これは、様々な種類の病気の抑制を要請する特殊な養鶏方法につながる。同局長は、養鶏専門家と小委員会は、新たな計画を作るために、提案された養鶏方法とワクチン接種を含む病気抑制に関する知見を融合させることになろうと言う。養鶏産業を導くための一層明確な計画を作るために、学界の知見が提案された措置の完成を助ける。

 委員会の議長を努めたチャトゥロン副首相は、政府は今や、タイやいくつかの先進国の有機農法の知識に基く正しい問題解決法を実施することになると述べた。

 無規制なワクチン利用が潜在するウィルスを拡散させ、あるいは人間や他の身近な動物との接触の機会を増やすことでウィルスの変異を助けることを恐れる政府は厳しく取り締まってきたが、タイの一部農民はワクチンを違法に使用し、合法化を求めてきた。先週、獣医、医者、感染症専門家で構成される同委員会は、ワクチン接種の代わりに、病気発生のサーベイランスのシステムや生物安全保障措置を推奨、ワクチン使用がウィルス変異の引き金になり、診断と発生抑制を妨げ、H5N1ウィルスの環境からの根絶を失敗させると示唆していた。

 詳しいことは分からないが、鳥インフルエンザにどう対処するかという難問に、解決の糸口を見出したのであろうか。

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