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イギリス:農民の取り分は余りに少ない、キャンペーン開始

農業情報研究所(WAPIC)

02.9.11

 9月9日、食料品小売価格からの農民の受け取り分は余りに少ないとナショナル・ファーマーズ・ユニオン(NFU)がキャンペーンを開始した(NFU - Press Releases NFU EXPOSES SHOPPING BASKET PRICE DISCREPANCY)。

 牛肉・卵・牛乳・パン・トマト・リンゴなどを含む農産物バスケットの平均で、店舗での典型的価格は37£だが、農民の受け取りは26%の11ポンドにすぎない。ある分野では、農民の取り分は4分の1にもならないという。多くは生産コストも割っている。会長のベン・ギルは、これを主張するために、ロンドン中心街に生産者価格で生鮮品を売る店を設置した。来週いっぱいかけて、各分野の状況を国民に直接知らせるべく、国中でイベントを展開する。

 NFUが明かにした小売価格と生産者価格は次の通りである。

品目

生産者価格
£/s

小売価格
£/s

農民受け取り比率
%

牛  肉

1.72

6.58
(トップサイド)

26

ラ  ム

2.24

4.57
(ショルダー)

49

豚  肉

0.95

4.78
(ロイン)

20

鶏  肉

0.49

2.32
(生鮮)

21

ベーコン

0.96

6.97
(背)

14

牛  乳

0.09

0.36

25

0.32

1.51

21

リンゴ

0.33

1.26

26

ポテト

0.07

0.91

8

トマト

0.56

1.10

51

カリフラワー

0.33

0.81

41

ニンジン

0.16

0.58

28

タマネギ

0.17

0.73

23

イチゴ

2.21

4.26

52

パン(小麦粉)

0.06

0.74

8

総計

11.29

37.48

26

  大部分の酪農民は、小売業者が牛乳を「目玉商品」として使うために、コスト割れ生産を強いられている。養豚産業も低価格と外国からの競争で大きな打撃を受けてきた。今年初め、政府委員会は農民の立場の強化のために「協同」を勧告したが(イギリス:生産補助金政策は持続不能ー政府委員会レポート,02.2.5)、加工業者・小売業者はますます強力になっているようである。

 「ガーディアン」紙によると(Farmers loses out on retail sales,Guardian Unlimited,9.9)、テスコは農民の懸念に応えとうとしており、イギリス酪農産業を救うために、乳価交渉に先立ち、牛乳加工業者に対し、リットル当り最低2%多く農民に払うように要求したという。しかし、誰が費用を払うのかは明らかでない。いくつかのスーパーマーケットは地場産品調達に方法を探っている。

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