農業情報研究所>農業・農村・食料>欧州>ニュース:13年11月15日
フランス農業未来法案 閣議提出 経済と環境の両立目ざし
フランスのフォール農相が11月13日、かねて予告していた「農業・食料・森林未来法案」を閣議に提出した。来年1月に国民議会(下院)に上程される。
この法の狙いにつては既に述べたとおりだ(フランス 「農業未来法」制定を準備 農業生産と生態系の対立を克服する農業・環境プロジェクトが柱,13.5.13)。ここでは、どちらかと言えば技術的で難解な39条からなる法案をフランス農業・食料・森林省自身が一般向きに解説した文書*により、この狙いを実現するための柱となる措置のいくつかを書き並べておく。
最大の目玉措置は、「経済・環境利益集団」(groupement d'intérêt économique et écologique,GIEE)の創設である。経済的パフォーマンスを維持・改善しながら環境影響を改善することに寄与する持続可能で革新的な農業方法の開発を目標に活動するこの新たな農業者集団は、公的援助上乗せの恩典に与かることができる。
このような農業方法・システムの改善のために、農業者と賃労働者の教育訓練を促進する。そのために、5年の間に1000の教員ポストを創設することで農業教育体制を強化する。また、高等教育と研究の協同関係強化のために、「フランス農学・獣医学研究所」を創設する。
第二の柱は農業構造にかかわる。といっても、日本ですぐ頭に浮かぶ大規模化ではない。土地整備農村建設会社(SAFER)の介入手段の強化によって過大な経営拡大を制限、生産・雇用システムの多様化を促す。新規農業参入者を優遇、40歳以上で両親が農業者でない農業志願者にも参入の道を開く。
第三の柱は公衆衛生である。農薬や獣医薬(抗生剤)の使用を制限し、食堂・レストラン・企業などで行われる衛生管理(検査)の結果は公表する。
フランスの1960年農業基本法はわが国の最初の農業基本法のお手本の一つになった。それから半世紀、フランス農業の理念は日本からはるかに遠くに離れてしまった。
*INFOGRAPHIE
: La loi d’avenir pour l’agriculture, l’alimentation et la forêt
http://agriculture.gouv.fr/IMG/pdf/A4_LAAF_gros2_cle84a6ac-1.pdf
なお法案そのものはProjet
de loi d’avenir pour l’agriculture, l’alimentation et la forêt
提案理説明はProjet
de loi d’avenir pour l’agriculture, l’alimentation et la forêt - Exposé des
motifs