農業情報研究所
(速報)イギリス:有機農業発展のためのアクション・プラン発表
農業情報研究所(WAPIC)
02.7.30
29日、イギリス環境食料農村問題省(DEFRA)が有機食品・農業の発展を支援するための21ポイント・アクション・プランを発表した(Action Plan to Develop Organic Food and Farming in England,7.29)。今年2月の政府委員会レポート(カリー・レポート)「農業と食料:持続可能な未来」(イギリス:生産補助金政策は持続不能ー政府委員会レポート,02.2.5)の勧告に従ったものである。有機農民の苦境に関する調査報告を出し、有機農業促進策の強化を求めたばかりのナショナル・ファーマーズ・ユニオン(NFU)の要求(イギリス:有機農業は危機にーNFU調査,02.7.30)にほぼ応えるものとなっており、NFUは、主要小売業者の店頭での輸入有機食品の比率を確認するサーベイを通しての生産者と小売業者の一層有効なパートナーシップの開発に向けての進歩と歓迎している(MARKET FOCUS IN ORGANIC ACTION PLAN WELCOME: NFU,7.29)。センズベリー、マークス&スペンサー、ウエイト・ローズの三つのスーパー・チェーンがプランに調印、イギリス産食品の販売比率を増やすと約束している。
プランは、有機食品のシェア(現在は1%)を3倍にすることをめざす。他のヨーロッパ諸国に比べての不利を正すために、有機生産者への補助金を拡充する。転換援助だけでなく、転換を終えた者にも継続して援助、果実生産者への転換援助も増額する。また、有機生産研究を援助し、学校・病院など公共団体には地方供給者から調達されるイギリス有機食品の購入の増大を促す。土壌協会(ソイル・アソシエーション)も、ヨーロッパの競争者との競争条件を均す方向に向けて出発することになると歓迎しており、ディレクターのパトリック・ホールデンは「我々は、もし実行されれば有機運動50年の歴史における最大の前進につながり得るこのレポートの大多数の勧告に同意する」と言っている(Soil Association:Action for organic food and farming,02.7.29)。ただ、NFUによれば、支持のレベルは、他のEU諸国の農民が利用できる政府支援のレベルになお及ばない。
関連ニュース
Organic dilemmas,Guardian
Unlimited,7,30(→イギリス:有機農業のジレンマ)
Government acts to
boost organic food,Guardian
Unlimited,7,30
Cash crisis puts
organic farming 'at risk',Independent,7.29
Organic farming in
Britain put at risk by cheap foreign imports,Independent,7.28