農業情報研究所農業・農村・食料有機農業>ニュース:21年7月23日

 

フランス有機農業が躍進 コロナ禍が追い風?

 

コロナ禍の中、フランス農業者の有機農業への転換が加速しているようだ。

 

 フランスの有機農業開発推進機関・L’Agence Bioが今月明らかにした数字によると、2020年、有機農業経営者はフランス農業者全体の12%に相当する53255人を数える。有機農地面積はこの5年で倍増、ヨーロッパ最大255万㌶(全利用農地面積の9.5%)になった(2019年には224万7971㌶で、2350万4916㌶のスペインに次ぐ第二位―eurostat)。

 

 2008年末の有機農業経営数は13298、有機農地面積は583799㌶に過ぎなかったヨーロッパ有機農業最後進国(フランス有機農業が急拡大 だが2012年までに3倍増の目標ははるかにかなた 農業情報研究所 09.6.13)が最先進国に躍り出たことになる。

  

 生産から流通に関わる有機農業部門雇用も前年に比べて12%増加した。農業生産部門が128345、加工が26639、卸売り2360、小売り4万900、サービス2300で計20500だ。

 

 コロナ危機でレストランでの売り上げは大きく減ったものの、2020年の有機市場は初めて130億ユーロを超え、ドイツに次ぐヨーロッパ第二位となり、フランス人の家庭で消費される食料品中の有機産品の比率もドイツと並ぶ6.5%となった。

 

 コロナ危機による衛生意識の高まりから、フランス人の57%が季節産品を選ぶと言い、10人中6人は国産品や流通ルートが短い品を重視するようになった。こうして、生産者直接販売が全販売の11%を占めることなった。こうした消費者行動の変化が有機農業を後押しているのかもしれない。

 

 En 2020, malgré la pandémie, le bio a poursuivi sa progression,Ministère de l’Agriculture, de l’Alimentation,21.7.21

 

 関連情報

 

 フランス有機農業躍進の報の落とし穴 「工業化」される有機農業 農業情報研究所 19.5.29

 フランス有機農業躍進 若者の多くは動物福祉)を理由に有機食品を選ぶ 値段は気にしない 農業情報研究所 18.2.22

 

  <日本では>  

 【シリーズ:みどり戦略を考える】対談:まるで欧米追随 まず「調和」理念の共有を 谷口吉光秋田県立大学教授 谷口信和東京大学名誉教授 農業協同組合新聞 21.6.18

 みどりの食料システム戦略(農林水産省)