農業情報研究所農業・農村・食料海外農業投資ニュース:2013年12月7日

中国企業 ラオスに1万㌶の稲作・畜産用地 外国農地頼みの食料安保戦略は健在?

 中国大企業・Beidahuang北大荒集団)がラオス・チャムサック県ボーラウェン高原に1万㌶の土地を確保しようとしている。稲作や畜産を営むためで、県の計画・投資局は今週はじめ、地域の調査と研究を始めることを許す同社との了解覚書に調印した。同社は6ヵ月をかけて土地の生産力、地勢、水の利用可能性などを調査、適地と判明すれば委譲協定を結ぶことを県当局に求める。

 ここで生産されるものの大部分は中国に送る。一部はカンボジア、タイ、ベトナム、ビルマにも送る。この投資計画は地域の社会・経済発展に貢献すると、ラオス側もすっかり乗り気になっているようだ。

 Chinese agricultural firm looking to invest in Champassak,Vientiane Times,13.12.7

 自国の食料安全保障のための途上国に向けたランド・ラッシュ、国際的批判の高まりで最近は、少なくとも表向きには鳴りを潜めているが、中国には関係ないようだ。「中国は、海外農地投資、特にアフリカの農地への投資によって食料生産をアウトソーシングする世界の”トレンド”には乗らない」という宣言にもかかわらず(中国は食料生産アウトソーシングの流れに乗らない 世銀は海外農地投資行動規範,09.4.21)、相手国に恩を売りながら世界中に自国のための食料生産基地を確保する伝統的戦略は健在である。最近の米輸入の急増(中国新・米事情 失われる国際競争力 潤沢な世界米市場が中国を養う,13.10.24)は、こういう戦略の一層の強化さえ予想させる。