農業情報研究所農業・農村・食料海外農業投資ニュース:2014年1月4日

サウジアラビア企業 スーダンでの穀物生産・畜産に投資 「アラブ」の食料安定確保のため

  サウジアラビアの農企業Iktifaa がアラブの食料安定確保をめざし、スーダン北部のセンナール州、北部州での穀物生産・畜産プロジェクトに投資すると発表した。小麦、トウモロコシとヒマワリなどの油糧種子を生産、牛の肥育もするという。スーダンの農業インフラは貧弱、輸入に頼る肥料等生産資材は高価で農民は借金まみれで投獄される者も後を絶たないと言われる。スーダンの政府側には、金持ち国からの大規模投資が農業開発と食料安全保障の手っ取り早い手段に見えるのだろう。 北部州知事は、サウジアラビアには40年におよぶ農業投資の経験があり、彼の州には広大な肥沃な土地があるから、両国の統合はサウジアラビア、スーダン、アラブ世界の食料自給につながると言う。

 Saudi agricultural company to invest in Sudan, says executive director,Sudan Tribune,14.1.4 

 ここには、国際社会の批判を前に今は鳴りを潜めているかに見えるかつての「ランド・ラッシュ」、貧しい農民からの土地収奪(ランドグラビング)を正当化したのとまったく同じ論理がある。論理だけではない。国際社会の監視、警戒が緩む中、近頃はかつてと変わらない現実が大手を振り始めたのではないかと疑われる。つい先日伝えたように、中国企業がカンボジアに1万㌶の稲作・畜産用地を確保しようとする動きも、悪びれることなく、堂々と明らかにされる。

 モザンビークの数百万の現地住民の生活と生計を危機にさらすと言われる「プロサバンナ事業」、FAO・世銀の研究も「ブラジルで起きたような富裕な農業者が主導する大規模農業よりも、タイで起きたような小規模土地保有者が主導する農業変革の方が望ましい」と言っているサバンナ地帯の農業開発をブラジルモデルで進めるこの「プロサバンナ」事業 至っては、日本政府が堂々と後押し、日本企業も堂々と参画している。

 参照
 アフリカ・ギニアサバンナの4億㌶に商業農業の機が熟す 大規模集約農業には要注意,09.6.2
 日本 モザンビーク農業開発協力を本格化 アフリカ農地争奪戦で一角確保?,10.3.18
 Farmers in Mozambique Fear Brazilian-Style Agriculture,IPS,13.12.28 

 国際社会はかつての監視、批判の目が取り戻さねばならない。