EU:BSE問題の最近の展開、バーン委員が報告

農業情報研究所
(WAPIC)

2002.2.22

 2月18日の農相理事会でバーン保健・消費者保護担当委員が昨年12月の報告以後のBSE(狂牛病)関連の諸問題の展開について報告した(SPEECH/02/73 David BYRNE European Commissioner for Health and Consumer Protection Latest developments in relation to BSE Agriculture Council Brussel, 18 February 2002,2.18)。

 彼が取り上げのは、EUにおけるBSEの発生状況、羊の海綿状脳症、EU域外諸国のBSE、子牛のミルク代用品中の獣脂、理事会と議会における立法提案の発展、EU構成国における展開にかかわる問題である。その要点を以下にのべておく。

 ●EUにおけるBSEの発生状況ー2001年のイギリスを除くBSE確認件数は957で、2002年の482からほぼ倍増。しかし、この増加の大部分は以前は検査されなかった健康な牛が検査されるようになったことによる。それに加え、以前はBSE問題をまじめに考えなかった構成国が監視を大きく改善したこともある。ただし、常設獣医委員会(SVC)の報告が常に光を当てているように、構成国による実行の分野ではなお改善の余地がある。

 それよりも重大なのは、いくつかの構成国で、1998年のようなごく最近に生まれた牛に感染が発見されつつあることである。これは牛がなお感染源ー多分、肉骨粉ーに曝されていることを意味する。欧州委員会は、新たなケースの年齢相の今後の変化に一層注意を向ける。

 ●羊の海綿状脳症(TSEs)ー羊のスクレイピーの本当の発生率は相変わらずつかめていない。スクレイピーの陰にBSEが隠れている可能性があるから、この病気の発生状況を完全にとらえることが不可欠である。そのために、欧州委員会は検査拡大を決定したばかりである(<EU:羊と山羊の海綿状脳症(TSE)検査を拡充,農業情報研究所,]2.15)。

 羊のBSEからの安全確保に焦点を当てた科学運営委員会(SSC)の意見が今週末で出るであろうが、新たな多くの措置が予見される。これらの措置には、特定危険部位の拡張、スクレイピーに感染した羊の群の淘汰に関する新たな定め、羊品種のゲノタイピングの一層の利用が含まれる。それに加え、委員会は、近々、羊の個体識別とトレーサビリティに関する理事会規則を提案する。

 羊へのBSE伝達のリスクは理論的なものにとどまっているが、EU全体の強力な防御のフレームワークの設置を推進しなければならない。

 ●域外諸国ー域外諸国からの輸入については、TSEs規則とその実施規程で包括的な措置が既に取られている。FVOは新たなEU加盟候補国で一連の監察を行なった。近々、アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイの監察にも出る。加盟候補国については、EU諸国が犯した過ちが繰り返されている。不適切な監視、肉骨粉禁止の実施や特定危険部位の除去における欠陥などである。欧州委員会は緊急の是正を要請している。これら候補国は、法的にもEU法の実施を義務づけられている。

 ●ミルク代用品の獣脂ー個人的には全面禁止の必要はないと考えている。委員会今週末に提案を論議する。

 ●法的発展ー動物副産物規則については、議会は、来月、理事会の共通の立場を採択するであろう(<EU:農相理事会、動物副産物規則を採択,農業情報研究所、01.11.25)。早急な合意と実施を希望する。
 構成国における肉骨粉の大量のストックの蓄積は憂慮すべき事態にあり、これらは廃棄、焼却されねばならない。さもないと、事故や深刻な事故につながる違反が起きるのは時間の問題である。

 欧州議会が採択したレポート(BSE年表2002年2月参照)に勇気づけられた。

 ●EU諸国における展開ードイツの非承認検査所でのBSE検査(<ドイツ:スキャンダル頻発のなかで新たな牛肉品質ラベルを導入,農業情報研究所、2.15)については改善を促す。この事態は、EU立法の実施の責任を連邦が負わない(この問題に関する責任は州にある)ことからくる。しかし、ドイツのこの事態によるパニックはどこにも生じていない。これらの肉の回収が必要という連邦当局の判断を受け入れた。しかし、この決定は欧州委員会とEU構成国全体に跳ね返る。例えば、非承認の検査所で行なわれた検査へのEUの資金提供の実施、市場支持のEU資金提供などの問題がある。

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