フランス:「予防原則」は法の一要素ー肉骨粉貯蔵倉庫移転を求める判決

農業情報研究所(WAPIC)

2002.2.25

 リバラシオン紙が伝えるところによると、ストラスブールの行政裁判所は「ストラスブルグ中東部防衛協会(Adiq)と30人ほどの沿岸住民の訴えを受け、3700トンの肉骨粉を貯蔵する居住地近くのライン港の倉庫の6ヵ月以内の移転を言い渡した。

 判決は、これらの肉骨粉は、理論的にはBSE(狂牛病)に汚染されていない精肉店や解体所の廃物から出た動物廃棄物に由来する「低リスク肉骨粉」であると認めながら、「まったく危険がないとはいえない」という食品安全機関(AFSSA)の意見に言及、生産される肉骨粉の量と焼却能力から貯蔵は一時的とは予想できない、この倉庫に隣接する穀物サイロの暴風雨・火災・爆発からくる危険も無視できないとして、この倉庫を肉骨粉貯蔵所とすることを認めた知事は「予防原則を守らなかった」と結論している。

 同紙は、ストラスブールのサイトはそれほど重要な肉骨粉貯蔵所ではないが、この判決は、肉骨粉貯蔵が一時的なものでないという現実を認めたこと、これら肉骨粉の危険性を改めて想起させたこと、そして「予防原則」がもはや単なる「政治的論拠」ではなく、「法の一要素」であることを確認したことで、象徴的意義をもつと評している。 

 3700 tonnes de farines animales indésirables à Strasbourg,Liberation,2.23

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