米国農務省、BSE検査手続変更 スクリーニング検査陽性は二重検査後に発表

農業情報研究所(WAPIC)

04.8.5

 米国農務省(USDA)の動植物衛生検査局(APHIS)は4日、BSEのスクリーニング検査で陽性と出た場合にさらに二つのサンプルで再検査を行い、それでも陽性反応が出た場合に公表、確認検査に送るように検査手順を改めたと発表した(STATEMENT BY APHIS CHIEF VETERINARIAN JOHN CLIFFORD ON PROTOCOL FOR BSE RAPID TESTING)。迅速検査によるスクリーニングは6月1日から始まったが、これまでに陽性反応が出たのは2件で(現在まで2万8000頭を検査したというが、詳細は発表されていない)、最初の一回の検査で陽性反応が出ると直ちに発表、確認検査の結果、擬似陽性と判断されている。

 現在の検査では、採取されたサンプルの量が多少とも多いと蛋白質分解酵素で分解しきれない異常プリオン蛋白質以外の正常な蛋白質が残り、擬似陽性反応が出てしまう場合がある。再検査すれば、精度は上がるだろう。一回の検査で陽性と出たらその都度発表しているのでは、市場の混乱も増える。牛肉業界は、最終確認が終わるまでは発表するべきないと主張してきた。USDAは、最終確認には1週間もかかり、とても秘密は維持できないとこの要求を拒んできたが、ヨーロッパ・日本流の手続の採用で業界保護に動いたわけだ。

 業界は歓迎しているが、消費者の利益を代表する公益科学センターは、これによってBSEと確認される可能性のある牛が市場に出回らないようにする農務省の緊急手続に遅れが出ることを恐れているという(Feds Modify Mad Cow Warning Threshold,AP,8.4)。これも無理のない話だ。USDAを「アグリビジネス産業省」呼ぶほどに政府と業界の癒着を疑う消費者団体にしてみれば(参照:USDAは「アグリビジネス産業省」、デタラメな米国BSE対策の根源 新レポート,04.7.26)、最初の検査で陽性と出ても誰も知らない状況では、何が起きるか分からないということだろう。

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