オーストリア、2例目のBSE確認 アルプス牧草地で飼育された初のケース

農業情報研究所(WAPIC)

05.6.22

 オーストリア2例目のBSEのケースが確認された。このケースは、フォアアルルベルク州のドイツとの国境に近い7頭を飼育する小農場からの11歳の牛という。疲れなどの疑わしい兆候を示した後、5月末に死んだ。原因不明で死んだ24ヵ月以上の牛すべての検査を義務付けるEUの規則に従い、ドイツで検査したところ、BSE陽性が確認された。

 このケースが興味深いのは、この牛は[アルプス小農場の]牧草地の草で育てられたものというからだ。保健相は、自然発生の機会は”100万頭に1頭”あると言い、自然発生の可能性を示唆している(1)。また、ロイターの報道によると、オーストリア食品安全機関・AGESも、飼料を通じての通常のルートによる感染のほか、プリオン蛋白質の自然発生的変異の可能性を考えているという(2)。ただ、オーストリアでは、肉骨分による牛の飼育は1991年以来禁止されているが、特定危険部位の廃棄はEUレベルで義務付けられる2000年10月まで行われていない。

 lオーストリアでは、01年12月に最初のBSEが確認されている。このケースは東部低地部で飼育されていたもので、01年1月にドイツで行われた検査で陽性とされた11頭しか持たないチロルの小農場のケースは、再検査の結果、陰性と確認されている。今回のケーズは、アルプスの牧草地で育てられた牛としては初めてのケースとなる。

 なお、米国農務省(USDA)の監査局(OIG)がBSEサーベイランス計画の第二次評価の過程で1サンプルの矛盾する検査結果に注目、追加検査を提議した(3))ために行われた再検査で陽性が疑われている米国の1ケース(4)についても、USDA内部には自然発生の見方が出ているという報道があるが(5)、残された僅かのサンプルでこれを確認するのは不可能だろう。 

(1)http://news.yahoo.com/s/afp/20050621/hl_afp/austriahealthmadcow_050621200600;_ylt=AhPB7ncZ6mxfV1w.D0jronol2y8C;_ylu=X3oDMTBiMW04NW9mBHNlYwMlJVRPUCU
(2)http://www.reuters.co.uk/newsArticle.jhtml;jsessionid=BICV1KQRUFLSICRBAE0CFEY?type=topNews&storyID=763041 
(3)http://www.usda.gov/oig/webdocs/BSEStatement050615.pdf
(4)USDA Press Office:STATEMENT BY DR. JOHN CLIFFORD REGARDING FURTHER ANALYSIS OF BSE INCONCLUSIVE TEST RESULTS
(5)http://news.yahoo.com/s/nm/20050616/wl_canada_nm/canada_madcow_usa_animal_col_1

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