韓国 9月初めに米国産牛肉輸入再開決定か 再開しても買わない主婦が7割

農業情報研究所(WAPIC)

06.8.14

 韓国が米国産牛肉の輸入を再開するかどうかの決定は9月初めになりそうだ。韓国農林省が14日、8月24日から9月3日まで米国食肉処理施設を査察、輸入再開の是非の決定はその後になると発表した。米国当局は以前の査察で発見された問題(韓国の米国産牛肉輸入再開延期 米国以外の国や30ヵ月以上の牛の肉の混入を恐れる,06.6.7)は是正されたというが、自身でチェックする必要があると言う。

 S. Korea to decide on resumption of U.S. beef imports in early September,Yonhap,8.14
 http://english.yna.co.kr/Engnews/20060814/640000000020060814120841E

 ただし、輸入が再開されたとしても、日本と同様に消費者の抵抗は続きそうだ。韓国農村経済研究所による651人の都会主婦を対象とする調査で、70.4%に相当する458人が、輸入が再開されても米国産牛肉は買わないと回答したという。この調査は別としても、同研究所の様々な調査で、回答者の大多数が、骨なし肉だけを輸入し、骨や脳・脊髄などの危険部位は輸入しないという政府の計画にと無関係に、米国産牛肉は食べないと答えている。回答者は骨なし牛肉も安全でないと考えている。さらに、70.2%の回答者が米国産牛肉は安全でないと回答、安全と考えている回答者は6.7%だけという。

 多くの市民グループやそのネットワークが、政府は牛肉輸出国との関係よりも消費者の健康にもっと注意を払うべきだと要求している。一部牧畜業者は米国牛は草で飼育された最良の牛だと主張するけれども、一主婦は、「彼らが米国牛肉は最高の品質をもつと誇るなら、輸出を諦めて米国市民にもっと供給することを望む」と言っている。Korea Agro-Fisheries Trade Corp.の幹部職員は、匿名で、「米国が低開発国・途上国と取引するのは余りに不合理と考える」と語った。

  一週間前、米国議会上院議員グループは、韓国は牛肉市場をできるだけ早く開放せよと要請し、輸入を解禁しなければ韓国との自由貿易協定交渉を続けないとする書簡を韓国大統領宛に送ったという。

 7 in 10 Housewives Reluctant to Buy US Beef,Korea Times,8.13
 
http://times.hankooki.com/lpage/200608/kt2006081318185210230.htm

 草で飼育された最良の牛など大嘘をつき(米国 牧場に出さなくても”草飼育牛”の基準案 狂牛病でも無傷の工場牛肉生産,06.8.7)、自らの足元も見ずに専ら政治的強圧で市場をこじ開けようとする米国は、安全性への世界の信頼を決して勝ち取れないだろう。

 関連情報
 韓国 米国牛肉処理施設再査察に合意 米国は一定の骨混入は認めよ要求,06.8.9