農業情報研究所

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アトラジンの環境ホルモン効果を再確認、米国チーム

農業情報研究所(WAPIC)

02.11.1

 今年4月、米国カリフォルニア大学の研究チームがアフリカツメガエルを使って除草剤アトラジンの環境ホルモン作用を確認したが(米国研究グループ、除草剤アトラジンの環境ホルモン作用を確認,02.4.17)、今度はアメリカのヒョウガエル(leopard frog,Rana pipiens)によってこれを再確認した。”ネイチャー”誌に発表された記事*によれば、米国の様々な地域の野生のヒヨウガエルのアトラジンに汚染された水への暴露の影響を調べると、雄の10%から92%に発達遅滞や雌雄同体現象のような生殖腺異常が見られたという。この結果は、実験室での観察結果によっても裏打ちされた。

 カエルは世界中で減少しており、気候変動など様々な要因が関係していると見られているが、アトラジンがその一要因であることはほぼ間違いないようだ。アトラジンは世界中で広く使われており、環境中に大量に拡散している。フランスは今年9月30日から出荷の許可を取り消し、来年6月30日以後は、最終使用者による使用を禁止する措置を決めている(フランス:除草剤・アトラジンを禁止へ,01.10.1)が、他の国での規制への動きはないようだ。

 *TYRONE HAYES et al,Herbicides: Feminization of male frogs in the wild,Nature 419, 895 - 896 (2002)