農薬使用半減計画は失敗か、達成か?日本では問題にもならないフランスの論議
2018年までに農薬使用を半減させるという農薬使用半減計画(Ecophyto、2008年)(注)にもかかわらず、フランスの農薬使用量は減ることなく、増加さえしている。1月7日にフランス農業省が発表した2018年の農薬使用量単位(NODU)数は2017年に比べて24%も増加、この10年一度もなかったような増加率だ。
“将来世代協会”(L’association Générations futures)は、Ecophytoの完全な失敗だ、プランの根本的改革が必要で、削減目標を農業、地域に強制しなければならいと批判する。
他方、保健・研究・農業・環境4省の共同声明は、この数字は、発癌性・突然変異誘発性・生殖に有害な物質など最も危険な農薬((CMR).)に対する課税が2019年1月1日から実施されることを前にした駆け込み需要を反映したもので、最も危険な農薬の販売量は2009-2011年、2016-2018年に10%ほど減少したと自画自賛している。
Le
recours aux pesticides a connu une hausse spectaculaire en 2018、Le Monde,20.1.8
農薬生産・販売者協会(UIPP)も、2017年から2018年にかけての増加は駆け込み需要による一時的なものとした上で、利用される活性物質の量はこの20年で40%以上減った、流通業者が購入する量は1999年には約12万トンだったが2018年には6万8000トンになった、化学農薬に代わるバイオコントロール製品も不断に増えている、(植物病害虫防除製品中の)その比率は2010年の13.4%から2017年23.7%に増えたと言う。
La
vente de produits phytos en hausse « conjoncturelle » de 8 % en 2018,Agri Mutuel,20.1.7
してみると、可能ならば2018年までに農薬使用を半減させるという農薬使用半減計画は達成されつつあるのだろうか?それとも・・・。いずれにせよ、確かなことは、野放しの農薬使用を容認し続ける日本がフランスに学ぶことはまだまだありそうだということだ。
(注)
2020年のフランス農業 生産性維持と自然資源・生物多様性の保全 農業情報研究所 09.3.2
フランス 農薬のリスクを減らす06-09年行動計画 危険な農薬の販売量の半減を目指す,06.7.1
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Ecophyto : 700 millions d'euros pour un échec ? la Confédération paysanne 20.1.8