農業情報研究所環境農薬・化学物質・有害物質20215 22

 

ネオニコチノイドは昆虫・蜜蜂だけでなく野鳥減少の元凶―フランス野鳥保護連盟

 

200210月、フランスの田舎を訪ね歩いたが(フランス中央山塊印象記ー日本との比較でー 農業情報研究所 02.11.6)、その時もっとも印象に残ったのは、「鳥の姿が滅多に見えず(目立つのは教会広場の鳩ばかり)、その囀りもほとんど聞こえない(気づいたのは非常に辺鄙な山奥の1ヵ所=コンクにおいてだけだった)ことだった(ヨーロッパからスズメが消える?人間は何を失いつつあるのだろうか? 農業情報研究所 06.4.21)。

 

 このように小鳥の減少している理由は何なのか。フランスは世界に名だたる農薬大国、農薬の大量使用くらいしか思いつかなかった。

 

 ところが最近、フランスの野鳥保護連盟(LPO)が1990年代からフランス農業で広く使われるようになったネオニコチノイド殺虫剤が野鳥を減少させる主犯ではないかと言い始めた。

 

LPOによれば、ネオニコチノイドが使われるようになったのは1990年後半だが、農業が営まれる環境で生きる小鳥の数は、この20年で30%以上減少した。2018年、研究者は、フランス農村の小鳥が「目が眩むほどの速さで」消えていると警告した。その数は15年で3分の1に減った。

 

ネオニコチノイドの授粉昆虫、特に蜜蜂に対する危険性が証明され、EU2018年に3種のネオニコチノイド殺虫剤の使用を禁止した(EU 3種ネオニコチノイドの屋外使用全面禁止へ 英・仏・独などの賛成で 農業情報研究所 18.4.28)。

 

しかし、ネオニコチノイドは昆虫ばかりでなく、多くの種にも有害な影響を及ぼす。イミダクロプリドは種子被覆の形で使われる。これらの種子を摂取する鳥に致死的影響を与えるだろう。5粒のトウモロコシは一羽のヤマウズラを殺し、5粒の小麦はヒバリを殺す」

 

 Néonicotinoïdes : la LPO attaque Bayer et Nufarm pour le déclin des oiseaux des champs,Le Monde,21.5.22