農業情報研究所


ヒマラヤ:温暖化が洪水の引き金に

農業情報研究所(WAPIC)

02.4.18

 国連環境計画(UNEP)は、16日、ヒマラヤ高地50近くの湖が決壊し、大洪水を引き起こす恐れがあると発表した(UNEP Press Release:Global Warming Triggers Glacial Lakes Flood Threat ,02.4.16)。地域の気温上昇が氷河とこれを育てる万年雪原の融解を加速しているからである。この地域の平均気温は、1970年代以来、1℃上昇している。

 発表によれば、科学者たちは、急速に満たされつつあり、5年以内には決壊にいたるであろう少なくとも44の氷原湖を発見した。UNEP早期警報・アセスメント局のアジア地域コーディネーターのSurendra Shresthaは、「我々の発見は、ネパールで20、ブータンで24の氷原湖が気候変動で危険状態になっていることを示している。我々は、緊急の対策がとられなければ5年から10年の間に決壊し、数百kmの下流の人々と財産に破局的結果をもたらすだろうという証拠をもっている。これらは我々が知っているだけのものである。ヒマラヤのその他の場所や世界中に、似たような危機的状況にある場所がどれほどあるのか、我々は知らない」という。

 ネパールの一つの湖は、1950年代末の0.23平方キロメートルから1.4平方キロメートルと6倍に広がった。この湖からの洪水は108km下流の村の1万の人命、数千の家畜、農地、橋、その他のインフラストラクチャーを脅かす。センサーとサイレンのハイテク通信ネットワークが湖から村につながれた。水位を30メートル下げる工事も進行中である。

 しかし、他の湖についても同様な工事をするためには緊急にお金が必要だと専門家は言う。これらの湖は到達困難な僻地にあるから、問題解決のためには大変なコストがかかる。

 国連は、国際山岳年が気候変動・持続不能な観光・汚染・その他の影響からこれらの死活的に重要なエコシステムへの脅威に光を当てることを望んでいる。山岳地域への影響を含む気候変動とその他の環境と開発の問題は、今年末に南ア・ヨハネスブルグで予定されている持続可能な発展に関する世界サミットの焦点になるであろう。

 関連報道
 Himalayan warming 'may trigger floods',BBCNews,4.16
 Melting glaciers in Himalayas threaten catastrophic floods,Independent,4.17

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