日本企業 レイテにバイオ燃料工場 フィリピン民衆の食料と命を収奪か?

農業情報研究所(WAPIC)

07.6.11

 フィリピン有力紙の報道によると、日本のコスモ石油が、もし原料の安定供給が保証されれば、レイテ島に1億ドルのバイオエタノール工場と5000万ドルのバイオジーセル工場を建設することを計画している。同社は、プランテーション農場と農場労働者を探す必要から現地政府に協力を求めているということだ。

 提案された計画では、バイオエタノール工場のために3万4000fのキャッサバ・プランテーション、3万6000fの甘藷プランテーション、7万6000fのヤム・プランテーション、4万fのサトウキビ・プランテーションが必要になる。また、バイオジーゼル工場のための1万7000fのオールパーム・プランテーション、6万1000fのコプラ・プランテーションも必要になる。

 製品は日本、オーストラリア、ヨーロッパ、その他の国々に輸出するのだという。

 Japanese firm eyes bio-ethanol, diesel plants in Leyte,INQUIRER.net,6.9
  http://newsinfo.inquirer.net/breakingnews/regions/view_article.php?article_id=70408

  ところで、上記の数字によれば、バイオ燃料生産のために必要な面積の総計は24万6000fということになる。フィリピン農業省によれば(http://darfu8.tripod.com/rp_leyte.htm)、レイテの総面積は57万1300fだから、実にその40%以上がこれらのバイオ燃料原料生産用地に当てられねばならないことになる。森林(27%)をすべて潰してもまだ足りない。水田(11%)は別としても、大量の食料生産用の畑(9%)、永年作物(果樹)地(38%)、草地(29%)が動員されねばならない。

 地域に食料を供給する大量の土地がバイオ燃料生産のためのプランテーション農場に収容されることになるのだろう。農地改革はますます停滞、撃ち殺される土地なし労働者も増えるばかりだろう。中国ばかりでなく、日本企業もフィリピン地方民衆の食料と命を直接脅かし始めた。少なくとも、真正の農地改革を求める農民グループと大地主たちの血の抗争に拍車をかけることになるだろう。

 今月初め、サトウキビ・プランテーションの土地を正式に配分された100人ほどのネグロスの農民が自分の土地を耕しに入ると、元プランテーション所有者の守衛たちが彼らを銃撃、2人が撃ち殺され、6人が怪我をした。農民グループは、こんな無力の現行”包括農地改革プログラム”の廃止と、”真に包括的で、真正・公正な農地改革法”を要求している。

 2 farmers killed, 6 hurt in Negros hacienda row,INQUIRER.net,6.5
 
Farmers’ group wants new land reform law,INQUIRER.net,6.10

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