三井、ブラジルでエタノール生産輸送コンプレックス 2011年の対日輸出量は30億リットルにも

農業情報研究所(WAPIC)

07.6.21

  ブラジル国営エネルギー企業・ペテロブラスと日本の三井が、ブラジルで10億米ドル規模のパイロット・エタノール生産輸送コンプレックスを2009年にもスタートさせるそうである。三井とペトロブラスは、日本の増大する需要に応えるためのエタノール生産・輸送協力協定に調印した。ペテロブロスは、主としてガソリン添加物として使われるエタノールの日本への輸出が2011年は30億リットル(2030年の日本のバイオ燃料生産目標量の半分にも相当)に膨らむと期待する。

 先には伊藤忠もペトロブラスと組んで日本向けエタノール生産・輸出大型基地の建設に乗り出すと報じられた()。日本政府が国内生産では到底賄えるはずのない600万キロリットルの目標を掲げたことが大手企業を開発輸入に走らせている。今となっては、日本が現地の農業・農村・農民と環境に破滅的影響を及ぼさないように祈るのみである。スイス・緑の党が提案するようなバイオ燃料輸入モラトリアムを求める運動(スイス緑の党 バイオ燃料輸入停止を主張 バイオ燃料エコ・バランス研究を受けて,07.6.7)は日本には絶無である。

 Petrobras, Mitsui Prepare US$1B Ethanol Production and Transport Project,soyatech.com,6.20

 このパイロット計画は、年産2億リットルのサトウキビ・エタノールを生産する能力を持つ5つのエタノール生産施設(C-Bioと呼ばれる)から成る。加えて、各施設は30M-40MWの能力のバガス(砂糖キビの搾りかす)燃焼発電所を持ち、またトラックとサトウキビ生産農場施設のためのバイオディーゼルを生産するための作物を輪作する。

 ペトロブラスと三井が少数株主となり、ブラジルのサトウキビ生産者が運営するこれら施設には日本国際開発銀行(JBIC)が既に融資を約束、ブラジル開発銀行(BNDES)も融資に前向きだ。

 このほか、日本の東電も提携者となる可能性がある。東電は発電所でエタノール燃料を利用することに関心を持ち、8月に天然ガス発電所でエタノールを試す。これがうまく行き、東電がエタノール発電をスタートさせると、ブラジルの日本へのエタノール燃料輸出は、2011年には年30億リットルにまで膨れ上がる可能性がある。

 ペトロブラスと三井は、40のエタノール生産者と、港と内陸を結ぶ二つのエタノール輸送パイプラインの建設についても協議しているという。

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