鳥インフルエンザ農業情報研究所環境感染症2017126

 

鳥インフルエンザ フランス・フォアグラが存続の危機 産業構造改変を訴える農民同盟

 

 フランスでH5N8鳥インフルエンザが猛威を振るっている。フランスのフォアグラの70%を生産する南西部、感染防止のためにアヒルやガチョウの殺処分を命じられた市町村は25日現在307、フォアグラ部門の損害は12000万ユーロ(約150億円)に達した。政府が命じる防疫措置そのものが部門の存続を危うくしていると、生産の工業化を指弾する声も上がっている(L'abattage préventif des canards et oies étendu à 337 communes,Agrissalon,17.1.26Les éleveurs de canards s’interrogent sur l’organisation de leur filière,Le Monde,17.1.13)

 

 フランスの少数派農民組合・農民同盟(Confédération Paysanneジョゼ・ボべ率いる南仏・ラルザック基地拡張反対闘争、遺伝子組み換えホルモン牛肉反対闘争などで世界に名を上げた)は南西部とフランス全土の家禽飼養者の状況はますます耐え難いものになっていると、産業構造の抜本的改変を訴える。

 

 農民同盟によれば、H58ウィルスの脅威に曝された家禽飼養者は、自身の将来を危うくするような家禽の殺処分・舎内閉じ込め・不相応なバイオセキュリティ措置を強制されている。繰り返される家畜衛生危機の元凶は産業の構造にある。より自律的なシステムに向けての移行を促し、高品質な家禽生産を全土に広げ、加工施設を再配置することで家禽の集中を抑えねばならないという(Grippe aviaire : Agir maintenant et pour l’avenir,Confédération Paysanne,17.1.18)。

 

 

 

 

 フランスや韓国(鳥インフルで過去最悪被害の韓国 日本お手本に制度改善へ 朝鮮日報 17.1.19)に比べれば日本は未だマシと言えるかもしれない。しかし、今季のような緊張続きの養鶏がいつまで続けられるのかという危惧は消えない。

  それにつけても、全国各地の地鶏や名もない放し飼いの鳥たち、今はどうしているかと思い遣られる。


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