米国議会、食肉等原産国義務表示の2年延期で合意

農業情報研究所

03.11.26

 米国議会がすべての食肉と肉製品・生鮮農産物・養殖魚に対する原産国表示の義務付けを少なくとも2年延期することを決めた。今月6日、上院は2004年度の支出承認法案でこための支出を承認したが、下院は肉・肉製品表示の実施のためのへの支出に強く反対していた。交渉の結果、表示の実施は2年延期が合意されたという。この表示の義務付けは2002年農業法に定められたもので、2004年9月からの実施が予定されていた。大統領や農務省は義務表示に反対してきたが、先月末には農務省が表示ルールを提案、60日間のコメントに出していた。今回の合意は、表示の実施のためのコストが高すぎるという卸売り業界、食品加工業界の強い圧力を受けてのものだ。カナダなどの外国企業も、消費者価格が上がり、米国での販売が阻害されると反対していた。

 2年延期は共和党議員が打ち出したものだが、2年延期にとどまらない恐れもある。義務表示を強く支持してきた上院民主党リーダーのトム・ダシュル議員は、延期は政府とミートパッカーを満足させるために表示を完全に葬るための偽装された努力と言っているという。農務省の研究によると、このような義務的表示をめぐる論争は40年以上も続いてきたという。この決定に、全国農民同盟(NFU)など一部農民団体は強い怒りを表明、上院の支出承認に際しては全米ファームビューローも歓迎の声明を出していた。消費者団体も、食品安全性を強化するとして、義務表示を強く要求してきた。しかし、これは永遠に実現できない課題なのかもしれない。

 米国からの輸入牛肉のBSEリスク安全保証を求める日本政府も、改めて対応を迫られる。

 ニュース・ソース及び関連情報
 Two-year delay for US rules on food labelling,Financial Times,11.24,p.6
 Setback on meat labelling measure,The Sacrament Bee,11.25
 NFU,NFU Applauds Senate COOL Vote11.6
 NFU,NFU Continues Fight for COOL Amid Threats11.24
 全米ファームビューロー,AFBF Pleased With Senate Passage of COOL11.7
 米国:食品原産国義務表示ルール案発表、一部カナダ経由牛も米国産(03.10.28)
 米国農務省(USDA)、カナダ生体牛等輸入解禁を提案(03.11.4)

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