EU 子供の多動性障害との関連が疑われる人工着色料で表示を義務化

農業情報研究所(WAPIC)

08.8.12

  ガーディアン紙の報道によると、EUが、子供の多動性障害と関連している可能性のある六つの人工着色料を含む食品と飲料に警告表示を義務付けることになりそうだ。EUで製造される製品はもちろん、輸入品に対しても義務付ける。

 食品中の添加物・フレーバー・酵素の新たな許可制度をめぐる欧州議会・欧州委員会・閣僚理事会の交渉で、製品は「子供の活動と注意力に悪影響を及ぼすかもしれない」(may have an adverse effect on activity and attention in children)と消費者に警告する表示義務化案が浮上した。今年遅くに閣僚理事会が正式に承認するが、企業は、多分2010年半ばまでの実施猶予期間を与えられるという。

 *タートラジン(E102、黄色4号)、キノリンイエロー(E104)、サンセットイエロー黄色5号)、カルモイシン又はアゾルビン(E122)、ポンソー4R(E124、ニューコクシン=赤色102号)、アルラレッド(E129、赤色40号

 EU plans warning labels on artificial colours,The Guardian,8.11
 http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2008/aug/11/foodanddrink.foodsafety

 これは、言うまでもなく、サザンプトン大学の研究に基づく昨年来の英国食品基準庁(FSA)の動きを受けてのものだ(参照:一定食品着色料混合物が子供の多動性障害に関連の可能性 回避は消費者の責任 英国FSA,07.9.6;多動性障害関連人工食品着色料の禁止はあり得ない 英国食品安全当局がFT紙に,07.9.8;EFSA 英国の着色料と多動性に関する研究で最初の見解 一層詳細な評価が必要,07.9.29;英国FSA 子供の多動性との関連が疑われる食品添加物の自主的排除を勧告へ,08.4.11)。

 ガーディアン紙の今回の報道によると、FSAの自主的使用禁止の要請を受け、来年中には着色料を含む数百の製品が店から消える。キャドバリー・トレバー・バセット、ネスレUK、ユニリバーなどの大手メーカーやテスコ、アスダ、マークス&スペンサーなどの自社ブランド小売大手が、着色料は使用しないか、年末までに排除すると表明しており、来年末にスタートする英国の自主的禁止は前倒しで進んでいる。

 しかし、FSAは、仕出し業者やレストランを含む中小企業についてはまだまだと考えている。EUの表示ルールも、仕出し業に適用するかどうかははっきりしていない。

 添加物に関する活動家は、「これら着色料をなぜ単純に禁止しないのか」、子供に悪影響を与えるだけで何の役にも立たないことは分かり切っていると言い、業界団体の食品・飲料連盟は自主的禁止は無用、輸入品には適用されないから有効に働くかどうかも疑問としているそうである。