中国:関税下げで果実価格戦争

農業情報研究所(WAPIC)

2002.2.18

 中国のWTO加盟に伴う関税率引き下げの影響は果実部門にも現れているようだ。16日付けのSouth China Morning Post紙は、関税引き下げから生じた果実「価格戦争」について報じている。

 北京北部のあるスーパー・マーケットでは、日本や米国からのふくよかなリンゴ、オーストラリアからのグレープ・フルーツ、エクアドルからのバナナの棚に客が群がっている。外国産果実は去年の12月から値下がり、特に大都市の「中産階級」が買い求めているようだ。

 東莞では、輸入リンゴがキロ・8元で売られており、このために、中国最大の生産地域の一つである煙台のフジ生産者はキロ・4元への値下げを余儀なくされている。広東や江西からのオレンジのキロ・5−6元に対し、米国からのサンキスト・オレンジはキロ・8−10元である。天津では、四川のオレンジは、関税半減にもかかわらず、なお輸入物の半値であるが、客は原産地は気にせず、味と価格で買うと言っている。

 公式統計によると、中国は年に5000万トンという世界最大の果実生産国であるが、輸出は16万トンで、世界の果実貿易の3%を占めるにすぎない。専門家によれば、これは狭い土地で質よりも量を重視する農民が大量の農薬を使うためである。農民は最新の技術に関する技術を欠いており、生産する果実はサイズも色も不揃いになっている。

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