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タイ:日本とのFTA、農業除外の首相発言に産業界反発

農業情報研究所(WAPIC)

03.6.9

 日本訪問中、タイのタクシン首相は、日本との自由貿易協定(FTA)で農産物に関する問題があることを認め、できる分野から交渉始めて、難しい分野は後からてをつけることで交渉の早期決着を図る意図を表明したと伝えられている。これは、当面のFTA交渉から日本の抵抗が大きい農業分野を除外することを示唆したものと受け止められている。しかし、首相のこのような示唆に対して、タイ産業界に戸惑いと警戒が広がっている。

 6月6日付のバンコク・ポスト紙の記事(FTA with Japan may exclude farm goods,Bangkok Post,6.6)によれば、タイ企業を代表する組織である共同WTO委員会事務局長が、首相の真意が農業部門全体を除外することにあるのか、それとも日本が敏感な少数の品目−コメ、砂糖、タピオカ、鶏肉−に限って除外するのか図りかねる言っている。しかし、後者であるとしても、「包括的交渉でなければどうしてFTAと言えるのか」、「日本の農産物市場へのアクセスの障壁の除去はタイ民間部門にとって交渉の最大の目標である」と彼は言う。さらに、投資を容易にする協定は、両国の経済と市場の発展の格差を前提にすれば、タイ企業に僅かな利益をもたらすだけであり、サービス部門では日本がタイの労働者の受け入れに一層柔軟になることはありそうもないと、農産物を除外したFTAにタイのメリットはないと強調している。

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