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タイ:中国と果実・野菜関税撤廃に合意

農業情報研究所(WAPIC)

03.6.2

 

 6月1日、アジア太平洋協力(APEC)の3日間にわたる貿易閣僚会合がタイのコンケンで始まった。勢力的に二国間自由貿易協定を追求するタイ政府は、この会合を利用して成果をあげようと懸命なようである。バンコク・ポスト紙によれば、いくつかの国、特に中国との間で成果があったという(Free-trade area talks yield fruit,Bangkok Post,6.2)。

 中国との間では、10月1日から果実と野菜の輸入関税を撤廃することに合意した。タイと中国は、タピオカを含む200品目以上の果実と野菜の輸入関税を撤廃する自由貿易地域(FTA)協定に、6月16日に調印する。

 パプア・ニューギニアとの間では二国間貿易協定に調印した。パプア・ニューギニアはタイに食品加工への投資と農業技術の移転を希望している。また、メキシコは、特にジョイント・ベンチャーまたは自動車部品供給を通じての自動車部品産業における貿易関係拡大を希望している。両国はFTAのフィージビリティー研究をスタートさせることでも合意した。オーストラリアとの間では、来週、シドニーでFTA交渉を開始する。

 このように、二国間FTA締結に向けて着実に前進しているようである。しかし、タクシン首相の今週の訪日に際して日本との政府間公式交渉開始の約束を取り付けようとする計画は、日本側が農業団体や民間企業を加えた「拡大作業部会」を設置してさらに研究する方針を打ち出したために実現の可能性は消えた。日本が、コメだけでなく、コメと並んでタイの重要輸出品目である澱粉も、砂糖も、鶏肉も関税撤廃に応じられないとするかぎり、タイの日本とのFTA締結のメリットはない。タイ民間部門は、そのようなFTA締結を許さないであろう。日本とのFTAは諦めるほかないかもしれない。しかし、アジアにおけるFTAへの奔流にブレーキがかかることはなさそうである。

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